東京弁護士会、「科学」と「事実」を無視して福島に対する放射線デマを流した NPO に『人権賞』を送る

 東京弁護士会が制定した『東京弁護士会人権賞』に NPO の『OurPlanet-TV』を選出したことに対する批判が起きています。

 なぜなら、このアワプラネットTVは福島に対して「甲状腺ガンが増加している」との放射線デマを流していた側だからです。科学的データや事実を無視して『人権賞』を送るのは人権侵害を引き起こしていることと同じです。

 強制加入団体である弁護士会がしてはならない行為だと言わざるを得ないでしょう。

 

 東京弁護士会では、1986年(昭和61年度)から、東京弁護士会人権賞を制定し、人権擁護活動に尽力されてきた方々を毎年表彰しています。

 候補者の方々はいずれも各分野において、人権擁護活動にご尽力されているところ、今年度も多数の推薦・応募があり、選考の結果、下記の方々が受賞者に決定しました。

 特定非営利活動法人OurPlanet-TV 様

 

甲状腺ガンに関する初期報道に誤りがあることに気づいたメディアが静かに撤退しただけ

 東京弁護士会は選出した理由として「甲状腺ガンの患者が想定よりも多く見つかったことで原発事故との関連が議論される中でメディアが十分に取り上げなくなるも、OurPlanet-TV は報道を積み重ねて来たから」としています。

 この理由付けは最悪でしょう。なぜなら、「福島県での甲状腺ガン」と「原発事故」には科学的な因果関係はないことが明確だからです。

 そのため、大手メディアは「原発事故が原因ではないか」との論調から撤退しました。これは以前と同じ報道を続けると誤報を流したことによる吊るし上げを受けるリスクがあるからです。

 しかし、白石草氏が代表理事を務める OurPlanet-TV は旧来の主張を続けており、『放射線デマ』を流し続けている状態なのです。そのような NPO を『人権賞』として表彰する東京弁護士会の姿勢は論外と言わざるを得ないでしょう。

 

「福島県で確認された甲状腺ガンの患者と原発事故に因果関係はない」と言える根拠

 なぜ、福島県内で確認された甲状腺ガンの患者と原発事故に因果関係はないと言えるかと言いますと、患者の発生率が他の地域と変わらないからです。

 2017年11月に NHK 福島が『支援団体の主張』をそのまま報じるという悪質な印象操作を行いましたが、その時点で紹介した甲状腺検査(2015年)の結果は下表のとおりです。

表1:甲状腺有所見率調査結果
判定 弘前市 甲府市 長崎市
A1 670人
(41.1%)
404人
(29.6%)
779人
(56.9%)
A2
(福島:40%)
939人
(57.6%)
947人
(69.3%)
582人
(42.5%)
B 21人
(1.3%)
15人
(1.1%)
8人
(0.6%)
C 0人 0人 0人
合計 1630人 1366人 1369人

 福島県による県民健康管理調査の甲状腺検査で『A2 判定(= 20.0mm 以下の小さなのう胞などの所見が認められる)』が下された人の割合は約 40%。この数値は長崎市とほぼ同じ割合です。

 もし、OurPlanet-TV などが主張するように原発事故と甲状腺ガンに因果関係があるなら、福島県下で実施された甲状腺検査で発見された患者の割合は「他地域よりも高く出ているはず」です。しかし、そうした数値は出ていないのです。

 他地域でも 50% の割合で検出されている『A2 判定』を「原発事故が原因」と根拠もなく主張しているのです。そのままにしていても全く問題のない甲状腺ガンを無理に “発見” し、余計な不安を患者に抱かせているのですから、OurPlanet-TV は人権侵害をしている側なのです。

 そうした団体に『人権賞』を与える東京弁護士会の姿勢は厳しい批判を浴びるべきものと言わざるを得ないでしょう。

 

加入必須の団体で政治活動をすることが問題

 日本で弁護士活動を行うには「地域の弁護士会を通じて日弁連(= 日本弁護士連合会)に登録すること」が義務付けられています。この制度は良いのですが、弁護士会が政治活動を行っていることは問題と言わざるを得ないでしょう。

 なぜなら、“弁護士会の活動” に熱心な一部の弁護士が『弁護士の総意』を全面に押し出した政治的な主張を繰り広げることが可能だからです。

 弁護士が政治活動をしたいなら、任意加入の団体を設立して行うべきです。「弁護士活動を管理する強制加入が必要な団体」の名前を使った政治活動をすることは『弁護士の総意』ではないはずです。

 社会に対して多様性を求めるなら、弁護士の中にも多様な意見があることを認めるべきでしょう。それができる体制が構築されていないのですから、弁護士の主張が世間に広がらないことは当然です。

 日弁連や東弁が発表した政治的主張が多数派に支持されるなら、弁護士によって発足した任意団体によるものであっても世間一般に受け入れられるでしょう。

 

 弁護士としては「社会に物議を醸す不安の種」が残ったままの方が『訴訟』が起きやすい環境のため、自分たちの収入源になるという見方も可能です。マッチポンプをするような弁護士と同じ穴の狢と見られてプラスになることはありません。

 科学的な根拠や事実を無視し、人権侵害を行うような NPO を『人権賞』に選出する弁護士会が絶対的な権力を握ったままで政治活動が可能になっている現状は是正する必要があると言えるのではないでしょうか。