ロイター通信、「安倍首相が施政方針演説で韓国を『最も重要な隣国』と評して関係改善の意思を示す」と見出し詐欺を行う

 ロイター通信が「安倍首相が20日に行われた施政方針演説で韓国に『最も重要な隣国』との文言を使った」と報じています。

 読者に日本側が態度を軟化させた印象を抱かせる見出しとなっていますが、これは明らかな “見出し詐欺” です。

 韓国の現状を『最も重要な隣国』と評していないのですから、誤解を招く情報を意図的に発信する報道機関は警戒が必要と言わざるを得ないでしょう。

 

■ ロイター通信が報じた記事

 ロイターが報じた記事の内容は以下のものです。記事は竹本能文氏の署名が末尾にあり、田中志保氏と高木匠氏が編集者の位置付けです。

画像:ロイター通信が報じた記事

 第201回国会(通常国会)が20日召集され、安倍晋三首相は同日午後、衆院で施政方針演説を行い、憲法改正に改めて意欲を示すとともに、全世代型社会保障改革に関して先送りをしない決意を表明した。外交では、韓国について「最も重要な隣国」との表現を3年ぶりに復活させた。関係改善の意思を示した可能性がある。

 ロイター通信がしたいのは「日本政府には韓国との関係改善の意思がある」と世論に印象づけることでしょう。

 ただ、事実の切り取りが行われていることが問題です。なぜなら、安倍首相は現在の韓国を「最も重要な隣国」とは評していないからです。無理筋な韓国擁護を展開しているのですから、期待する効果を得ることは困難と言えるでしょう。

 

■ 事実

 ロイター通信が報じた記事が『見出し詐欺』と言える根拠は安倍首相が20日に行った施政方針演説そのものにあるからです。

 北東アジアの安全保障環境が厳しさを増す中で、近隣諸国との外交は、極めて重要となっている。韓国は、元来、基本的価値と戦略的利益を共有する最も重要な隣国。であればこそ、国と国との約束を守り、未来志向の両国関係を築き上げることを、切に期待する

 安倍首相は韓国を「元来、基本的価値と戦略的利益を共有する最も重要な隣国」を評し、「国と国との約束を守り、未来志向の両国関係を築き上げること」を期待しています。

 つまり、安倍首相の主張は従来から変化はありません。

 しかし、ロイター通信は「安倍首相が以前の韓国は『最も重要な隣国』と言及したこと」を切り取り、「今の韓国が『最も重要な隣国』である」と発言したかのように装った記事を配信しているのです。これは悪質なデマ記事で世論を誘導しようとする行為と言わざるを得ないでしょう。

 

 ロイター通信は「『最も重要な隣国』との文言3年ぶり復活」とのタイトルで記事を配信しているのです。意図的に付けた見出しなら悪質ですし、そうでないなら報道機関として実力不足は深刻です。

 見出し詐欺など悪質な行為に手を染める報道機関には同業他社が批判することで自浄作用が働いていることを示さなければなりません。

 それができていないから、メディアへの不信が広がり続けるのです。自業自得と言わざるを得ないのではないでしょうか。