中国・湖北省の当局が操業再開を許可、経済の正常化に向けた第1歩が踏み出される

 日経新聞によりますと、新型コロナウイルスが最初に確認された武漢のある中国・湖北省で一部企業の操業再開が当局から認められたとのことです。

 感染対策が条件になっていますが、経済が動き始めることはプラスと言えるでしょう。ただ、アウトブレイクが再発する可能性があるため、状況を注視する必要があると考えられます。

 

 新型コロナウイルスの発生地である中国の湖北省政府は11日、省内の一部企業の操業再開を認めると発表した。大企業を中心に感染対策を実施することなどを条件に再開を許可する。湖北省は中国で唯一、1月下旬から企業の休業が続いていたが、制限が緩和され大企業は中国全土で事業再開が可能になった。

 

「都市の封鎖」による効果が現れたことは事実

 中国は中央政府が強権を発動できる国家ですから、「武漢封鎖」を徹底することが可能です。その効果もあり、新型コロナウイルスの新規感染確認者数は大きく減らしています。

 したがって、経済を回すための操業再開を認めたのでしょう。

 ただ、一斉再開ではありません。“当局が求める感染対策を実施する大企業” に限定されているため、「コンプライアンスを遵守する可能性の高い企業」に先行指標を作らせる狙いがあると見ることができます。

 武漢は中国の自動車産業の中心地ですから、いつまでも封鎖しておくことは経済に悪影響を及ぼすだけです。大企業は雇用者も多いため、『当局の示した方針』は妥当なものと言えるでしょう。

 

“第2波” に警戒しながらの経済活動の再開となる

 過去に世界中で猛威を振るった『スペインかぜ』は “第2波” が強烈でした。第1波が起きたのは「1918年3月」でしたが、多くの人々が亡くなったのは「1919年秋」から世界中で発生した “第2波” だったからです。

 中国の現状は「新型コロナの “第1波” が治まりつつある状況」です。

 そのため、政治が「経済活動の段階的再開」を決定するのは当然でしょう。しかし、完全に収束した訳ではないため、“第2波” が発生することを想定している必要があります。

 中国は「“第2波” の発生を検知すれば、当局が問答無用の強権発動で封じ込めること」が可能ですから、他国よりも見切り発車がしやすい状況にあることに留意しなければなりません。したがって、強権発動ができない国は経済活動の再開を呼びかけるまで少し時間を要することになるでしょう。

 

日本は3月16日からの第3週で「自粛要請の効果がどのぐらい出るか」がポイント

 日本は新型コロナウイルスの感染確認者数を抑制することはできています。ただ、これは「風邪の初期症状の場合は受診を控えるように」との要請が自粛要請の中にあったことが影響していることが有力です。

 もし、目標設定を「感染者数の把握」にしていた場合は医療崩壊を起こしていたことでしょう。

 現状は医療崩壊の手前で踏み止まっていますが、経済活動をいつまでも止めておけないことも事実です。そのため、「3月初旬からの自粛要請で感染者の新規発生数をどのぐらいに抑えられるか」が大きな注目点になります。

 したがって、日本国内での経済活動が本格的に再開を始めるのは3月第4週以降になると思われます。今後は「老人ホーム」や「介護施設」といった高齢者が多い集団を “クラスター” にさせないことが求められるでしょう。

 どのタイミングで日本が経済活動を踏み切るのかが注目点と言えるのではないでしょうか。