「延期」や「中止」と言い出したら費用負担を迫られることが明らかな状況下で IOC が「東京五輪に向けた準備を予定どおり行う」と表明

 NHK によりますと、新型コロナウイルスによる影響が世界中に出ている中で臨時の理事会を開いた IOC (国際オリンピック委員会)が「計画を変更する時ではない」との考えを確認したとのことです。

 「延期」や「中止」を言い出した組織が責任を負うことになるのですから、IOC が結論を先送りにすることは当然です。日本は「オリンピック開催のために検疫を緩める必要は微塵もない」ため、「参加するアスリートと日本国民の健康が大事」との姿勢を貫かなければなりません。

 

 IOCは17日に電話会議の形式で臨時の理事会を開き「大会まで4か月あり、今は抜本的な決定をすべき時ではない」として、予定どおりの開催に向け準備を進めていく考えを確認しました。

 そのうえでIOCの優先すべき原則として関係者全員の健康を守りウイルスの封じ込めをサポートすること、アスリートとオリンピック競技の利益を保護することの2点を確認しました。

 

現時点で「結論」を出す必要がないことは事実

 まず、IOC が現時点で「東京五輪を予定どおり開催するかの結論」を出す必要はありません。なぜなら、開催までの時間が残されているからです。

 確かに『従来の選手選考』を実施することは時間的に不可能です。ただ、『予選会方式』を採用すれば、開催は可能になります。

  1. 国内最終予選への参加資格を持つアスリートを来日させる
  2. 来日したアスリートを2週間の検疫下に置く
  3. 東京以外の都市で『五輪出場を賭けた予選会』を実施
  4. 東京オリンピック開催

 この方式を採用する前提条件は「日本国内で新型コロナウイルスの問題が収束済みであること」です。そのため、日本政府は「オリンピック開催の判断」を下すことは先送りにし、国内での感染拡大を封じ込めることが重要になると言えるでしょう。

 

「延期や中止を(最初に)言い出した団体」がその費用負担を迫られるのは目に見えている

 日本政府が “絶対にやってはならないこと” は「IOC にオリンピック延期や中止の口実を与えること」です。

 IOC は「WHO の判断次第」との姿勢を現時点で採っていますが、これは延期や中止によって生じる追加費用の負担を回避したいからです。もし、日本政府が「延期」や「中止」を要望すれば、IOC は要望を受け入れた上で追加費用の全額負担を日本に要求することでしょう。

 したがって、日本政府は「オリンピックは予定どおり開催される」との認識で準備を続けるとともに、「渡航制限の基準をオリンピックを理由に緩和する考えはない」との姿勢を貫かなければなりません。

 これはオリンピックを理由に来日するのは選手だけではないからです。

 選手やコーチ陣は新型コロナへの感染で「オリンピックに向けた準備」が台無しになるため、最大限の注意を払うことでしょう。しかし、取材するマスコミや観客がオリンピック選手と同じだけの注意を新型コロナに払うことはまずないと考えられます。

 したがって、オリンピックを開催する場合は「外国から新型コロナウイルスが持ち込まれる」との前提で入国および強制退去の基準を用意しておく必要があると言えるでしょう。

 

日本国内で新型コロナウイルスを根絶させておくと、IOC に様々な “注文” を付けることが可能になる

 オリンピックを予定どおりに開催するかどうかは世界各国の今後の対応次第です。「参加することに意義がある」とは言え、新型コロナウイルスを(日本国内で)拡散されては迷惑極まりないことです。

 したがって、日本が IOC の足元を見れる状況を作っておくことが重要になります。

 現在の日本では新型コロナウイルスの治療に要する費用が国が負担しています。そのため、オリンピックで大量の外国人が訪日すると新型コロナウイルスも持ち込まれることになるでしょう。

 そうなると、日本政府の予算で感染者を国籍に関係なく治療することを強いられるのは目に見えています。だから、日本側が IOC に対して強気に出れる状況を作っておくことが重要になるのです。

 「感染が続く国からの入国希望者は国籍に問わず14日間の検疫下に置く」との『原則』が効果を発揮させるには日本国内で新型コロナウイルスを根絶させておくことが重要になります。まずはそれに尽力した上で「オリンピック開催の可否」を論じるべきと言えるのではないでしょうか。