都道府県別・新型コロナウイルス感染者の有症状患者の推移 【2020年3月19日〜25日】

 新型コロナウイルスの感染者が増加していることを受け、東京都の小池知事が「外出自粛要請」に言及しました。この1週間で以下のように増加しているため、要請は理解できるものと言えるでしょう。

画像:都道府県別・新型コロナウイルスの有症状者の推移

 

有症状の患者数がこの1週間で倍増した東京都

 新型コロナウイルスの患者数は厚生労働省が公式ウェブサイトで毎日発表しています。

 東京都は3月19日時点(PDF)で入院86名・死者2名だったのですが、1週間後の25日(PDF)には入院170名・死者5名と倍増しています。この1週間で『感染が確認された有症状者』は3月初旬頃に『感染』した疑いが濃厚です。

 外出自粛要請に応じたとしても、“3月上旬に感染していた人” の中から『発症者』は出ます。東京は人の出入りが日本で最も多い都市ですから、しばらくは感染のペースが高い水準で推移する可能性は大きいと言えるでしょう。

 

院内感染が懸念されていた大分県は封じ込めが機能か?

 先週の時点で大きな懸念が示されていたのは「大分県で発生した院内感染」でしょう。

 対応は和歌山県のケースと同じで(無症状の)対象者にも『PCR 検査』を実施し、陽性反応者の隔離と検査結果の発表を県が行っています。

 「大分医療センター以外での集団感染はない」とのことですし、第2種感染症の病床数を下回る患者数で抑えられていることは評価ポイントです。

 回復・退院者が現れるのは「4月以降」になりますから、さらなる感染を起こさないように感染が発生しやすい場所を県民が避け続けることが求められていると言えるでしょう。

 

陰圧室で治療されることが理想だが、全国で約1800床しか用意されていない

 新型コロナウイルスは指定感染症ですから、患者は感染症病床に入院させる必要があります。しかし、感染病床数は1758床しかありません。

 そのため、厚労省は2月9日付の通知(PDF)で「緊急その他やむをえない場合は一般病床でも入院可」と告知し、「感染者同士なら相部屋にしても良い」としています。

 ただ、マスクやゴーグルなど院内感染を防ぐ器具が確保されていることが前提になります。感染の疑いがある患者が急増すると、医療用具の供給が追い付かなくなり、院内感染によって最前線にいる専門家が(新型コロナに感染して)戦線離脱となってしまいます。

 そのため、感染拡大は歓迎できることではないと言わざるを得ません。

 

 自粛要請は「『感染のピーク』を遅らせて医療崩壊を防ぐ目的」で行われたものです。どこかで『感染のピーク』は来ますし、それが「3月22日から4月初旬まで」という可能性もあり得ることです。

 “山場” に差し掛かっていることは確実ですから、不要不急の外出や医療機関の受診は自重する必要があると言えるのではないでしょうか。