「多くの若者は新型コロナに感染しても重症化しにくい」が、重症の意味は「酸素マスクや人工呼吸器のお世話になること」と認識すべき

 「若者は新型コロナウイルス(covid-19)に感染しても重症化しない」との “説明” に朝日新聞・尾形記者が疑義を呈すツイートをしています。

 「若者は重症化しない」という認識は誤りですが、「重症化しにくい」ことは事実です。ただ、『重症』の定義が「医師」と「世間一般」で大きく乖離している可能性があり、この部分はメディアが “擦り合わせ” に尽力する必要があるでしょう。

 

「(風邪やインフルエンザの)高熱でフラフラの状態」は『重症』と言えるのか?

 『重症』の定義が医師(や医療関係者)と世間一般の間で大きく乖離している可能性を指摘しているのは @gessai 氏のツイートです。

 ポイントとなるのは「軽症や中等症の範囲が世間一般の思っている以上に広い」ということです。

 若者や現役世代がインフルエンザを発症した際に、酸素マスクや人工呼吸器を使うまでに悪化するケースは極めて稀です。そのため、この基準だと「多くの若者は新型コロナに感染しても重症化しにくい」との認識は『真』となります。

 

「呼吸に苦しみを覚えた」との体験談を述べた現役サッカー選手も『軽〜中等症』に分類されるだろう

 ヨーロッパではサッカー選手にも新型コロナウイルスの感染者が多数出ていますが、ユヴェントスに所属するディバラ選手は「5分くらいで呼吸が苦しくなって動くのをやめなければならなかった」と症状が強かった頃を回顧しています。

 ディバラ選手はチームで3人目の陽性反応者で、陽性反応が告げられた時は既に隔離中の身でした。(ルガーニ選手が最初に陽性反応を示したため、自宅隔離となったいたことが理由)

 発熱の有無を言及していたかは不明ですが、自宅隔離のままで症状が快方へと向かったのですから、医学的には『軽〜中等症』と判断されるでしょう。

 「息切れ」の他に「筋肉の痛み」があったとのことですから、症状としては風邪と似ています。日頃から身体を鍛えて摂生に励んでいる選手でも「辛さ」を感じる疾患であるため、不健康や(加齢や基礎疾患で)免疫力が低下している人にとっては「さらに深刻」になることは避けられません。

 そのため、周囲に重症化しやすい人がいるとの認識を持った上で行動することが重要となるでしょう。

 

「若者が重症化しにくい」の認識でも良いが、患者の絶対数が増えると「重症化して時には死に至る例外」が発生する

 若者が新型コロナウイルスに感染しても重症化しにくいことは統計的に間違いのない事実です。これは厚労省が発表している発生動向(PDF)から確認することが可能です。

画像:新型コロナウイルスの国内発生動向

 ただ、忘れてはならないのは「あなたが(新型コロナウイルスに)感染した際に重症化を免れる保証はない」ということです。

 何の基礎疾患も持たない健康で元気な若者が “例外事例” を引いてしまう場合はあります。そうなった時は「すでに手遅れ」なのですから、『油断大敵』という言葉を健康で元気な人ほど再認識すべきと言えるでしょう。

 

 風邪の初期症状が現れた時は「十分な睡眠と栄養補給」を行った上での『休養』が求められます。「少しぐらいの風邪では休めない」や角界の「怪我は土俵の上で治す」との考えは対極に位置するものです。

 価値観を根本的に変えて対応することができるのかが問われていると言えるのではないでしょうか。