「自粛と補償はセットだろ」と叫ぶ “脱税王” への配慮より、『今現在も新型コロナと格闘中の医療従事者への手当拡充』が最優先だ

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために自粛陽性が東京都から出されたことに対し、共産党の小池晃参院議員が「自粛と補償はセットだろ」との左翼界隈の主張に賛同しています。

画像:小池晃参院議員のツイート

 しかし、売上を補償すれば利益を保証することになるのです。また、対象となっている飲食業は “脱税王” の地位にいる訳ですから、「税の還付」や「失業手当」による救済措置で十分です。

 少なくとも、今現在も新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるために最前線で戦っている医療従事者への手当拡充よりも優先すべき事案は何もないと言えるでしょう。

 

各種飲食業は “脱税王”

 まず、各種飲食業は不正発見の確率が高い “脱税王” です。国税庁が発表した『平成30事業年度 法人税等の調査事績』で不正が発生された上位10業種は下表のとおりです。

表: 不正発見割合の高い10業種(法人税・平成30事業年度)
順位 業種目 割合 1件あたりの金額
1 (1) バー・クラブ 70.3% 16,286千円
2 (2) 外国料理 46.7% 7,742千円
3 (3) 大衆酒場、小料理 46.3% 7,975千円
4 (4) その他の飲食 42.7% 10,690千円
5 (9) 自動車修理 29.2% 4,401千円
6 (5) 土木工事 28.4% 12,570千円
7 (7) パチンコ 27.8% 30,629千円
8 (8) 職別土木建設工事 26.9% 11,701千円
9 (10) 一般土木建設工事 26.9% 15,568千円
10 (-) 管工事 26.9% 8,957千円

 東京都が自粛陽性を出した “各種飲食業” は「脱税の多い業種」です。こういう業界を税金で救済することに理解は得られないでしょう。

 また、保健所の追跡作業に非協力的です。感染拡大の原因を作り、公衆衛生を悪化させる元凶と化している業界を救済するために助太刀をする人はまずいないと思われます。

 

新型コロナウイルスによる『特別措置』は発表されている

 事業者に向けた救済措置は経産省を始め、厚労省からもアナウンスされています。

画像:特別措置

 休業しても解雇せずに雇用し続ければ、給与の 90% は国が負担してくれる『救済策』があるのです。公的融資で「無利子・無担保・5年据え置き」もありますし、どれを活用するかは経営者の判断次第でしょう。

 しかし、これらは真面目に経営をして結果を残していた経営者が救済されるものです。

 税金や保険金の支払いを誤魔化していた経営者は「売上の補填」を強く求めるでしょう。なぜなら、彼らは「赤字分を過去の納税分から還元」や「雇用者は失業保険でカバー」をいう “常套手段” を使えない立場にいるからです。

 「自粛と補償はセットだろ」と叫ぶ者たちの中には “そうした立場にいる不届き者” が紛れ混んでいることを忘れるべきはないと言えるでしょう。

 

今現在も最前線で新型コロナウイルスと戦っている医療従事者への待遇が無視されていることが問題

 「自粛と補償はセットだろ」と叫ぶ界隈と同調者が無視しているのは「今現在も最前線で新型コロナウイルスと戦っている医療従事者の存在」です。

 なぜ、彼らの奮闘は軽視されているのでしょうか。医療従事者が戦線離脱することになれば、それだけ『医療崩壊』をする限界値が低くなります。

 日常的に過剰労働を強いられている医療従事者を感染の高リスクにさらした上、特別報酬などを与えていないのです。マスコミや患者から「無理難題や心ない誹謗中傷」を浴びせられている現状では “危険水準” に達しているとの前提で対応をする必要があるでしょう。

 不況になると自殺者が増えることは事実です。2000年代の始めは3万人強で推移していましたから、その水準に戻る可能性はあります。

 ただ、『医療崩壊』が発生すると、“新型コロナウイルスだけ” で「3万人以上」が亡くなったとしても不思議ではありません。日本はイタリアよりも高齢化が進んでいるため、医療崩壊で新型コロナウイルス以外の死因による死者が深刻になる現実は直視しておく必要はあるでしょう。

 少なくとも、医療制度を維持するためには「医療従事者の消耗を最小限すること」も不可避です。この前提を無視した『補償』の内容を議論することはナンセンスと言わざるを得ないのではないでしょうか。