トランプ大統領、「WHO の新型コロナウイルスへの対応」を検証する間は資金の拠出を一時停止する意向を表明

 NHK によりますと、アメリカのトランプ大統領が WHO への資金拠出を一時的に停止する考えを明らかにしたとのことです。

 アメリカは新型コロナウイルスで最も大きな被害を受けている国ですし、WHO が「中国経済への影響」を懸念する立場を採り続けたことは事実です。そのため、資金の拠出を凍結することはどの国にとっても当然と言えるでしょう。

 

 トランプ大統領は14日の記者会見で、WHOの新型コロナウイルスへの対応を検証するとともに、その間、WHOに対する資金の拠出を一時的に停止する考えを明らかにしました。

 その理由についてトランプ大統領は、アメリカがことし1月、感染拡大防止のため中国からの入国を禁止する措置を発表したことなどに対し、WHOが反対したとして「WHOによる最も危険な判断の1つだ」と述べました。

 また、去年12月の時点で、中国の武漢からの情報でヒトからヒトへの感染を疑うべき情報があったのに、WHOは調査しなかったなどとして「基本的な義務を怠り、その責任を負わなければならない。WHOの過ちによって多くの人たちが死亡した」と述べて、強く批判しました。

 

台湾からの報告を無視し、「人から人への感染はない」と1月に言い切った WHO

 WHO は新型コロナウイルスに対して「中国当局の調査ではヒトからヒトへの感染を示す証拠はない」と1月中旬に明言しています。

 しかし、実際には昨年12月の時点で台湾が「人から人への感染が疑われる」と報告していたにも関わらず、WHO は中国政府の代弁者として振る舞い続けたのです。

 また、各国が中国からの渡航に制限をかけた始めた2月には「渡航や貿易を妨げる必要はどこにもない」と発言し、中国経済を心配するコメントを出しています。

 自国内での市中感染を防ぐためには「入国時の検疫」が重要になります。“自由な渡航” はそれに相反するものですから、「WHO の対応」は査定の対象になるべきと言えるでしょう。

 

「中国の顔色を伺うだけの国際組織」の “賞味期限” は切れている

 WHO だけでなく、国連など「第二次世界大戦直後に産声をあげた国際組織」の賞味期限は切れていると言えるでしょう。

  • WHO の拠出割合(ブルームバーグより)
    • アメリカ: 22.0%
    • 中国: 12.0%
    • 日本: 8.6%
    • ドイツ: 6.1%
    • その他: 51.3%

 中国が WHO に資金を拠出する割合はアメリカの半分ですが、WHO などの国際組織は「中国に忖度した行動」を採り続けています。

 “科学的な根拠に基づく決定” が『中国の方針』と一致しているなら、問題ではありません。ところが、『中国にとって好ましい方針』を後押しするように国連や WHO が理解を示していることが実情なのです。

 国際組織がまともに機能していないのですから、拠出金を出す価値が薄れることは当然です。「資金を拠出する割合に関係なく、『1国1票の制度』を維持することは是正すべき」と言わざるを得ないでしょう。

 

『1国1票』で動く国際組織なら、途上国を抱き込むことで操るのは容易

 国連や WHO などの国際組織で、中国の意向に沿った判断が出される理由は「1国1票で動く組織」だからでしょう。なぜなら、この手の組織は “買収” が容易だからです。

 手口としては「途上国に(紐付きの)経済支援」を行います。

 先進国では「支援先の権力者と密接な関係になること」は汚職に該当する恐れがあるため、コンプライアンスの部分から自重します。しかし、それを無視して「支援先の有力者を儲けさせる」という行為をすれば、別の場所で “お礼” をもらうことは可能です。

 その “お礼” がされる場所が『国連』であり、『WHO』なだけでしょう。途上国は国際組織が『親米』だろうが『親中』だろうが関係ありません。「どれだけの援助額があるか(≒ 権力者が儲かるか)」が重要なことです。

 国際組織にしても「途上国の状況を改善させたこと」が “実績” としてのアピール材料になるのですから、先進国を財布程度にしか見ていないのは明らかです。これまでは上手くオブラートに包むことができていましたが、新型コロナウイルスで従来の手法が限界に達しただけでしょう。

 

 汚職まみれの状態となっている組織が「改変」を求められるのは当たり前です。“WHO とは別の組織” を発足することも選択肢の1つですし、現状の WHO 体制を維持しなければならない理由はないと言えるのではないでしょうか。