「新型コロナの死亡率が大きい高齢者の命が最優先」で政治と専門家会議の利益が一致し続ける限り、緊急事態宣言解除後も経済は傷つき続ける

 5月14日に行われた政府の新型コロナウイルス感染症対策本部の会議で北海道・首都圏・近畿などの大都市圏を持つ自治体を除く39県の緊急事態宣言が解除されると言及されました。

 ただ、解除後も「自粛の継続を」と呼びかけており、状況は維持されたままでしょう。なぜなら、政治と専門家会議は「新型コロナウイルスによって死亡しやすい高齢者の命を守る」で利益が一致しているからです。

 その結果、経済が必要以上に悪化することになるのですから、代償は極めて大きいと言わざるを得ないでしょう。

 

「死者数を少なく留めておく観点から緊急事態宣言解除の基準は諸外国より厳しく設定」と明言

 残念ながら、これからの日本経済は「民主党政権以上の大不況が襲う可能性が大」と言わざるを得ないでしょう。なぜなら、5月14日の専門家会議で『緊急事態措置の解除の考え方』を次のように提言されているからです。

画像:専門家会議が発表した5月14日の提言内容

 「死者数を少なく留めておくために諸外国よりも解除の基準を厳しくする」と提言を政府が容認しているのです。

  1. 新規報告数
    • 『直近1週間の新規感染報告数』が『先週1週間の報告数』を下回っていること
    • あくまでも簡易指標
    • 報告数が非常に少ない場合は1,2件の増加によって要件が満たされない訳ではない
  2. 直近1週間での累積新規感染者の報告数
    • 10万人あたり0.5人未満程度
    • 新規感染者およびクラスター対策ができていた頃の水準
      → 東京では3月上・中旬に該当

 ちなみに、ドイツは「人口10万人あたり50人未満」で緊急事態宣言が解除され、段階的に経済活動が許可されています。これと比較すると日本の解除基準はあまりに厳しすぎると言えるものでしょう。

 

政治家と感染症の専門家は「高齢者の命を守ること」を最優先にすることで得られる利益が大きい立場にいる人物

 なぜ、このような指標が採用されたのかと言いますと政治家と感染症対策の専門家の双方が得られる利益が大きいからです。

 少子高齢化が極端なまでに進行中の日本では『シルバー民主主義』と揶揄されるほど、政治は高齢者を最優先にした政策を実施します。その一例が現役世代の社会保険料率を 30% にまで設定していることでしょう。

 また、感染症の専門家は「感染症による死者の絶対数を抑えること」が最優先事項です。新型コロナウイルスによる死者の年齢比は全死因とほぼ同じですし、特異な治療法は存在していません。

 そのため、風邪や季節性インフルエンザをこじらせた高齢者への対処のように人工呼吸器に接続するケースは稀となるはずですが、現状は ECMO を引っ張り出してまで延命措置を行っている状況です。

 彼らは「高齢者の命を守る」という利益のために奔走していますが、“代償” はあります。それが「外出自粛要請による経済の大失速」であり、「国が肩代わりを宣言した医療費の負担」なのです。

 これらは現役世代が税金や保険料で後々に渡って強制的に支払わせられる運命なのですから、迷惑極まりない決定が下されたと言わざるを得ないでしょう。

 

長期戦では『自粛』ではなく『自衛』が重要となり、クラスター追跡班となったクラスター対策班に意味はない

 新型コロナウイルス対応が長期戦になるなら、「自粛」と「クラスター追跡」の2点は疲弊の要因となります。これらは「自衛」と「クラスター対策」に改善されなければ、自滅することになるでしょう。

 「クラスター追跡」は「クラスター対策」より楽です。なぜなら、集団感染が発生した場所にいた人物を特定して探すことが仕事だからです。だから、GPS 機能を使ったアプリの活用や体温記録が提言されているのです。

 しかし、「クラスター対策」は厄介な仕事です。こちらは「屋内に千人単位の観客を集めた K-1 でクラスターが起きなった理由」を特定するなど役割が期待されるからです。

 3月の連休中という感染リスクが高い状況下でイベント開催が強行された K-1 でクラスターが起きなったことは無視すべきではありません。『自粛』を要請すれば、感染する機会そのものを抹消できますが、その分だけ経済が傷ついているのです。

 高齢者や基礎疾患保持者が健康な現役世代より死亡するリスクが高いのは当たり前です。生命保険の掛け金は「加入希望者の年齢や健康状態」によって異なるのですから、否定しようのない事実と言えるでしょう。

 

平成が「停滞の30年」なら、令和は「没落の時代」

 新型コロナウイルスによる死亡リスクも全死因と同じですし、死者の絶対数が極端に多い疾患ではありません。

 にも関わらず、経済活動を止めてまで高齢者の寿命を引き延ばすことを政治と専門家が選択したのですから、その代償は経済不況(と現役世代の命)で払うことにならざるを得ません

 野党やマスコミは「科学的根拠に基づく追求」ではなく、検察官の定年延長などを平常運転モードで批判している有様です。これでは政府は従来どおりの『現役世代への負担増政策』で “その場しのぎ” をすることでしょう。

 強い自粛要請で需要を消し去ったのですから、需要は供給を大きく下回ったことで「デフレの入口」に立っている状況です。現役世代の消費力は「社会保険費の増加」でさらに落ち込むことが濃厚であり、回復の目処が立つ見込みはありません。

 後期高齢者は「医療費が1割負担」ですし、「高額療養費制度」も用意されています。“将来にツケを回す原因を作っている張本人” である高齢者の余生を豊かにすることを最優先にした政治が行われているのですから、没落が急速に進むことは避けられないと言えるのではないでしょうか。