久保裕也のリオ五輪派遣を所属クラブが拒否したことはチームが実力を評価しているから

 リオ・オリンピックが間近に迫ったタイミングでサッカー日本代表に選出されている久保裕也選手を派遣できないと所属チームのヤング・ボーイズ(スイス)が公式サイト上で発表しました。

画像:ヤング・ボーイズ(スイス)でプレーする久保裕也選手

 この判断はチームが久保選手の実力を評価しているからと言えるでしょう。

 

 FWの序列は背番号9を付けるゲルント選手(スウェーデン)が上です。事実、ウクライナ・リヴィウで行われたチャンピオンズリーグ予選3回戦ファーストレグ、シャフタール・ドネツク戦でも先発に起用されました。

 ところが試合中に左ひざを負傷したため、48分の時点で久保選手と交代しています。この交代からも久保選手が高く評価されていると言えるでしょう。

 

 ヤング・ボーイズが久保選手のリオ五輪派遣を拒否した理由は8月3日にセカンドレグが予定されているからです。“控えFW” と位置付けられた選手が離脱することはチームにとって大きな痛手ではありません。

 しかし、ヤング・ボーイズのホームで行われるセカンドレグで逆転突破を狙うチームからすれば、“主力FW” が離脱するのは以ての外です。地力差のあるチームが相手とはいえ、ホームで無様な試合をしようものなら、批判にさらされることになるからです。

 

 日本サッカー協会は久保選手を当初の予定通り、リオ五輪に派遣するためにヤング・ボーイズ側と交渉するつもりでいるのだと思われます。

 しかし、クラブ側の考えを翻意させることは簡単なことではありません。FIFAが主催する大会ではありませんし、代表チームの招集要請に応じる必要がないからです。

 ひざの負傷で長期離脱の恐れが主力FWに加え、その穴を受けるポテンシャルがあるFWも離脱させることはクラブにとっての損害があまりに大きいと言えるでしょう。つまり、久保選手はそれだけクラブに評価されているのです。

 久保選手の年俸を支払っているクラブの意向が最優先される。この形がビジネスの世界では当たり前として受け入れなければならないと言えるのではないでしょうか。