沖縄は「オスプレイへの不安と怒り」は敏感に感じるようだが、「中国海軍への不安と怒り」は微塵も感じないようだ

 中国海軍の空母が沖縄本島と宮古島の間を通過したことを防衛省が確認したとNHKが伝えています。

 沖縄に与える脅威という点ではオスプレイと比較にならないのですが、翁長知事や沖縄メディアから批判の声は一向に聞こえてきません。“攻撃能力を有する移動軍事基地” が目の前を通過しているにもかかわらず、沈黙を保ったままであるとは非常に不思議なことです。

 

 防衛省によりますと、25日午前10時ごろ、中国海軍の空母「遼寧」がミサイル駆逐艦やフリゲート艦など合わせて6隻で沖縄本島と宮古島の間を通過し、太平洋に出たということです。

 中国初の空母として4年前に就役した遼寧は、基地に近い海域で基礎的な訓練を行ってきましたが、24日午後、東シナ海を東に向けて航行しているのを海上自衛隊が確認していました。

 

 『空母打撃群』は海上戦を想定する上で重要な存在です。護衛艦に守られた空母から爆撃戦闘機が発進することが可能であり、どこに展開するかによって相手に大きなプレッシャーを与えることができるからです。

 要するに、海上の “移動型軍事基地” に該当する訳です。

 今回、防衛省が確認したことは「“中国製の移動型軍事基地” が沖縄本島と宮古島の間を通過し、西太平洋へと移動した」というものです。

 ところが、在日アメリカ軍の撤退を強く求めている沖縄は “中国製の移動型軍事基地” については無視を決め込んでいるのです。なぜ、中国軍の動きは意図的に無視をするのでしょうか。

 

 中国は数年前から沖縄近海(日本の排他的経済水域内)での海底調査を積極的に行っています。海底鉱脈を探る活動を続けているのですが、資源を盗もうとする動きであっても、沖縄は沈黙を保ったままです。

画像:中国調査船の活動海域(zakzakより)

 まるで、中国が主張する「沖縄トラフまでは中国の海域」という考えに賛同しているかのような対応に終始しています。これでは公安の調査報告書に「中国による分断工作が進んでいる」と記されて当然と言えるでしょう。

 日本は『日中中間線』を境界として主張していますが、中国は「沖縄トラフまでが自分たちの海域」と主張しています。

 中国の主張を既成事実化する言動を沖縄の政治家が行い、メディアがそれを喝采しているのですから、野放しにすることは容認できるものではありません。

 

 沖縄を “平和の島” にするというなら、アメリカ軍だけでなく、中国軍にも同じ要求をしなければなりません。アメリカには反基地活動を積極的に展開するが、中国には何もしないのはダブルスタンダードです。

 「オスプレイに対する県民の不安と怒りは頂点に達している」とメディアの前で語るなら、「中国軍に対する県民の不安と怒りは当店に達している」とマスコミの前で述べなければならないのです。

 それとも、中国軍は自分たち沖縄を攻撃することはないと考えているのでしょうか。もしそうだとすれば、その考えは甘すぎます。攻撃対象から外れるのは完全に支配下に置かれてからのことであり、“完全な支配体制” が確立するまで徹底的な弾圧を受けることになるでしょう。

 

 「中国が攻めてくるはずはない」と平和ボケをしているのか、中国の手先だから意図的に脅威を無視しているのか。

 どちらにせよ、安全保障の重責を担う上では大きな問題があると言えるでしょう。予防策を軽視したツケは厄介な形で請求書が突きつけられることになるのです。“安全神話” を盲信する安全保障体制ほど危なっかしいものはないと考えるべきでしょう。