経済の専門家を駐日アメリカ大使に置いたトランプ政権の狙い

 次期駐日アメリカ大使にウィリアム・ハガティ氏が就任することが正式発表されたと読売新聞が伝えています。

 外交手腕が未知数との懸念を読売新聞は記述していますが、大した問題とはならないでしょう。なぜなら、前任者のキャロライン・ケネディ大使の外交手腕を見ても、外交能力が求められる二国関係ではないことが明らかだったからです。

 

 トランプ米大統領は23日、次期駐日大使に政権移行チームで幹部を務めたウィリアム・ハガティ氏(57)を指名することを正式に発表した。

 米議会上院の承認手続きを経て、着任する見通しだ。

 ハガティ氏は2011~15年に地元の南部テネシー州で経済開発庁長官を務め、その後は投資会社などを経営。トランプ氏に請われ、昨夏から政権移行チームで人事担当の責任者として、4000超に及ぶ政治任用ポストの人事調整を担っていた。経済分野の専門家で外交の経験はなく、外交手腕は未知数だ。

 

 日本とアメリカの両国関係は「外交的な問題はほとんどない状態」です。そのため、キャロライン・ケネディ氏のような “問題発言・行動” を起こすような人物でも大使を務めることができるのです。

 外交的な問題を抱えている国に駐在する大使が炎上を招くような振る舞いをすれば、問題がさらに悪化し、場合によっては自国が窮地に追い込まれることになります。

 “遊んでいる” 状態でも問題とはならないのですから、外交手腕を持った人物が大使を務める必要はないのです。逆に、能力の低い人物が大使であるなら、日本側が有利となるような主張を代弁させれば良い話なのです。

 

 新しい駐日大使となるハガティ氏は経済の専門家です。これは明らかにトランプ政権の狙いが含まれていると言えるでしょう。

 トランプ政権は TPP 反対の立場を表明していますが、日本との二国間協定を締結することに向けては非常に前向きは立場を示しています。

 したがって、ハガティ氏が担う最大の役割は「日本との二国間協定締結に向けた実務者交渉」となることが予想されます。経済の専門家が「アメリカの国益を最大限にする」という目的を持ち、交渉の下準備などで動くことが想定されるのです。

 経済面で攻勢を強めることが予想されるアメリカ政府の動きに対し、日本側がどのように対応するのかが大きな注目になると言えるはずです。

 

 専門家が “交渉の場” に関与するということですので、細かい交渉については専門家に一任し、政治家は「望んだ結果が得られたか」という点のみに専念すべきです。

 成果を得るために口出しを行い、実の部分を相手方に持って行かれるという失態は絶対に避けなければならないことだからです。その忍耐が日本側の政治家に備わっているかが二国間協定の内容に大きく影響することになると思われます。

 ハガティ新大使がどのような形で役割を果たすことになるのか。その動きを見守る必要があると言えるでしょう。