日本国籍未取得の白鵬が “特例” で『一代年寄』を取得することに反対する

 歴代横綱の中でも突出した安定感がある白鵬が注目される点は「どこまで記録を伸ばすのか」と「引退後の処遇」と言えるでしょう。

 『一代年寄』を取得するに相応しい堂々とした成績を残している一方、日本国籍を保有していないことが問題となります。“特例” という形を検討すべきケースなのですが、現状では “特例” で『一代年寄』を与えるべきではありません。

 

1:横綱・白鵬の成績は文句の付けようがない

 横綱・白鵬の成績は文句の付けようのないものです。

 幕内通算1000勝と横綱通算800勝は来年中にも達成することができるでしょう。現時点での成績が歴代1位であり、この段階で『一代年寄』に相応すると言えるはずです。

 また、金星配給率も歴代横綱の中で極めて低く、取りこぼしが少ないことは高く評価されるべき点でしょう。

 しかし、“特例” で『一代年寄』を認めるべきとは言えないことが起きました。それは「横綱・日馬富士の暴行騒動への対応がマズかったから」です。

 

 

2:日馬富士の暴行騒動への対応は “特例” に値しない

 ただ、横綱・白鵬に “特例” で『一代年寄』を認めるということは現状では検討にも値しません。なぜなら、日馬富士の暴行騒動への対応を決定的に誤っているからです。

 白鵬は「(日馬富士が)手を出したことは事実、これはやってはいけない」とコメントしています。この意見は評価されるべきものでしょう。

 しかし、「 “やってはいけないこと” をやった力士への対応」は適切と言えるでしょうか

 貴乃花親方が被害届を出したことで事件が世間に知られることになりましたが、暴行の現場にした横綱・白鵬は「問題を責任者に報告する」という適切な対応をしていたことを示す必要があります。これができていたことが証明されない限り、“特例” の対象として議題にあげることは見送るべきでしょう。

 

 もし、白鵬が日馬富士の暴行があった翌日に巡業部長である貴乃花親方に報告していたり、師匠である宮城野親方や(師匠経由で)相撲協会に一報を入れていれば、“特例” の対象とすべき品格を兼ね備えた大横綱と言えるでしょう。

 そうではない訳ですから、“特例” を認める必要性がない状況なのです。

 平成29年(2017年)九州場所は4横綱で迎えましたが、白鵬を除く3横綱は引退の瀬戸際に立たされていると言っても過言ではありません。鶴竜は欠場が続いていますし、日馬富士は言うまでもないことです。稀勢の里も成績が伴わないようでは風当たりが強くなることが予想されます。

 白鵬の『一代年寄』に焦点が当たるのは少し先になるでしょう。ただ、現状では「不祥事が起きた際の適切な対応」という点で “特例” を認めるべきではないと言えるのではないでしょうか。