「旧宮家の皇籍復帰」を除外し、「女系天皇(= 母系天皇)」という形で “皇室の権威” を途絶えさせようとする左派とマスコミ

 令和時代が幕開けたことを機に、NHK などのメディアが「安定的な皇位継承」にスポットを当てています。

 「皇族の数が減少していること」が喫緊の課題ですが、左派を中心に「女系天皇(= 女性宮家創設)ありき」が唯一の解決策との世論誘導が行われていることは問題と言わざるを得ないでしょう。

 なぜなら、男系継承(= 父系)が維持されることで皇室の権威が保たれてきたからです。また、「旧宮家の皇籍復帰」という選択肢を初めから除外した議論は「皇室を途絶えさせる」という目的が透けて見える形になっているからです。

 

 皇位の継承資格がある皇族は、新たに皇嗣となられた秋篠宮さまなど3人となるほか、女性皇族が結婚で皇室を離れることも予想されることから、政府は今後、安定的な皇位継承の確保や皇族数の減少といった課題への対応を迫られます。

 (中略)

 菅官房長官は、女性皇族が結婚後も皇室にとどまる女性宮家の創設などについては「男系継承が古来、例外なく維持されてきた重みなどを踏まえ、慎重に検討を行う必要がある」と述べました。

 

伝統は「規則が受け継がれること」で “権威” となる

 『女性宮家の創設』に対し、保守派から否定的な意見が出るのは「伝統に反する」ことが最大の理由です。

 伝統は “権威の源泉” となります。皇室の場合は「男系(= 父系)男子で千数百年続いてきたこと」に意味があるのです。この伝統(の根本部分)を変更すると、その時点で伝統と権威は絶たれます。

 つまり、「これまでの皇室の連続性はなくなる」のです。日本国民の過半数が「女系(= 母系)を加えた『新・皇統』による歴史をゼロから作り始めること」を支持するのであれば、そのように変更をすべきでしょう。

 しかし、『女性天皇』と『女系天皇』を混同させて議論を進めたり、『旧宮家の皇籍復帰』という選択肢を始めから除外していることは問題です。左派は「現状の皇統を途絶えさせる施策」を主張している状況が強いため、早急な結論を出すことは慎む必要があると言えるでしょう。

 

『女性天皇』と『女系天皇』は似て非なる存在

 皇族の数を問題視する識者の中には「女性天皇」と「女系天皇」を混同して『女性宮家の創設』を解決策として主張する人もいます。ただ、両者は似て非なる存在なのです。この事実を正確に伝えずに議論することは問題と言わざるを得ません。

  • 女性天皇
    • 「男系の女性天皇」を指す
    • 推古天皇や持統天皇という前例が存在するが、現在は皇室典範で不可
    • 父系が皇族で、愛子殿下が該当者
  • 女系天皇
    • 母系が皇族の天皇
    • 過去の前例はなし
    • 愛子殿下の子供が天皇になった場合が「女系天皇」に該当

 過去に「女性天皇」は存在しています。推古天皇や持統天皇が前例で、どちらも「男系の女性天皇」です。

 現在は皇室典範で「男系の女性天皇」も誕生できなくなっていますが、こちらに関しては過去の事例からも理解を得やすいと考えられるでしょう。

 しかし、「女系天皇」は話が別です。これは母親が皇族の天皇で、過去に前例がないからです。女系天皇が誕生する前提が『女性宮家』なのです。

 「女性天皇」と「女系天皇」の違いに触れることなく、『女性宮家』の創設ばかりを強調する左派と歩調を合わせる政党やマスコミの姿勢は疑わざるを得ないと言えるでしょう。

 

皇室典範の改正は避けられないが「旧宮家出身者の皇籍復帰」を最優先で議論する必要がある

 近い将来、皇室典範の改正が不可避となるでしょう。これは保守派も認識しているはずです。安定した皇位継承には「男系男子を最大化すること」が重要であり、『女性宮家の創設』はそれらの施策をし終わった後ですべきことです。

 まずは「旧宮家出身者の皇籍復帰」を議論しなければなりません。

 “旧宮家出身の男系男子” は複数人いるのです。GHQ の施策によって宮家の数が絞らざるを得ない状況に追い込まれたのですから、「『元の状態』に戻すこと」は有力な選択肢の1つと言えるでしょう。また、「旧宮家出身の男系男子を皇族に養子として迎えること」も選択肢になり得るはずです。

 これらの選択肢では「男系(= 父系)男子の系譜」は維持されるため、現実的で反発の少ない対策と言えるでしょう。

 「女性天皇」を全面に押し出し、どさくさに紛れて「女性宮家の創設から女系天皇を誕生」させて皇室の伝統を途絶えさせようとする主張は論外と言わざるを得ないのではないでしょうか。