政治家は毎年14兆円の後期高齢者医療費が現役世代の生活を苦しくしている現実と真剣に向き合え

 日経新聞が「国民の生活を支える社会保障によって、国の財政が破綻しそうだ」と警告する記事を掲載しています。

 「防衛費が年間5兆円を突破した」とメディアは騒ぎ立てますが、1番の支出は社会保障関係です。年間14兆円が支出されている後期高齢者の医療費に歯止めをかけることができなければ、現役世代の貧困問題が解決されることはないでしょう。

 

 高齢者医療費が歯止めを失いつつある。社会保障給付費は30年に今より約50兆円増えて170兆円程度に達する可能性がある。影響が大きいのが医療費。とりわけ75歳以上の後期高齢者医療費は約1.5倍の21兆円に達する公算が大きいことが全国調査をもとにした分析で分かった。

 

 後期高齢者の医療費は現役世代の保険料で賄われています。社会人であれば、給料から強制的に天引きされており、実質的な減給に見舞われていると言えるでしょう。

 賃上げがあったところで、高齢者に費やされる保険料も上がっており、手取り額が増加している人が多いのかは怪しいところです。なぜ、多くの現役世代が苦しい生活を送ることを余儀なくされている原因を解決するために政治家は動かないのでしょうか。

 

 平均寿命が長いことはインフラ面など「生活環境が優れていること」をアピールする最大の理由となるでしょう。

 しかし、“チューブ人間” という形にしてでも延命させることに意味があるのかという点と向き合わなければなりません。これは「寝たきり老人に国費から膨大な医療費をつぎ込み、延命治療を継続する必要性はあるのか」ということと同じです。

 石油のような資源に恵まれた国なら、そうした政策も可能です。ですが、資源のない日本では破綻することが目に見えている “問題のある政策” と言わざるをえません。

 なぜ、現役世代より資産を持つ高齢者世代の医療費を現役世代が負担しなければならないのでしょうか。

 

 「若者の消費意欲が減少している」とメディアは紹介しますが、単に消費に回す余裕がないからです。

 知的な若者や現役世代は “収入の範囲内で可能な生活” を送っていることでしょう。その結果、購入に対する決断がシビアになり、厳選した本当に良い商品に人気が集まることとなるのです。

 その反面、「なんとかなる」と甘い見積もりをした若者は厳しい立場に置かれています。メディアに登場する “貧困に苦しむ若者” の多くは自らが過去に行った「甘い見通し」による高い授業料を払っている様子が見受けられます。

 自らの判断ミスの結果、出遅れたことは自業自得と言われるでしょう。しかし、出遅れを挽回するために欠かせない資金が保険料として高齢者世代に搾取されているのです。

 

 若者や現役世代の “チャンスの芽” が潰されているような現状が放置されていることこそ、深刻な社会問題として扱われるべきテーマでなければなりません。

 ところが、与野党を問わず高齢者世代への “仕送り” を見直す動きはほぼ皆無です。また、メディアも「生活の苦しい高齢者」ばかりをクローズアップし、現役世代への負担を強いる一方です。

 高齢者に寄り添うメディアから若者が離れ、「高齢化社会は大いに結構じゃないか」と演説した蓮舫氏が率いる民進党は若い世代を中心に見限られるのです。

 自分たちの生活にマイナス影響を与える元凶を支援する人はまずいないでしょう。当然、苦しい状況を変える人物が出て来れば、大きな支持を得ることができます。

 

 「福島第一原発の廃炉に20兆円かかることは問題」とメディアは主張しますが、その額は「後期高齢者の医療費に費やされる予算の1年半分」です。

 数十年単位で20兆円がつぎ込まれることが問題なら、1年半でほぼ同額をつぎ込んでいる実態が明らかになった問題も同じように扱わなければなりません。

 完治見込みの少ない終末医療という形で後期高齢者に費やされている医療費が年間5兆円と仮定しても、防衛費と同額が費やされていることを意味するのです。この数字がどれだけ大きいものかは分かることでしょう。

 

 「誰でも保険制度が使えて、最高の医療を受けることができる」という形はすばらしいものですが、“タダ乗り” をしている人物が制度自体を揺るがしていることが明らかとなったのです。

 後期高齢者による医療費増大に歯止めがかかっていないことが問題として指摘されていますが、今後は民主党時代に解禁した『外国人による国民健康保険を使った医療ツーリズム』が問題として浮上することでしょう。

 結局は日本の現役世代が負担を押し付けられる構図となっているのです。医療費に使える上限枠を決め、それを遵守することを徹底しない限り、財政破綻を招くことは確実と言えるでしょう。

 国民の生活を守るための社会保障費によって、国の財政が破綻し、結果として国民の生活が守られなくなったという笑えないシナリオが現実に起きることは時間の問題と言えるのではないでしょうか。