生活保護は「ジェネリックのみ無料、診察費と先発薬費は実費負担」とすべき

 生活保護費は増加の傾向にあるのですが、その原因となっている医療費について「原則ジェネリックを使用する」と法律に明記する方針が固まったと時事通信が報じています。

 生活保護を受給していれば、医療費は全額無料です。制度として明らかに不公平な状態で運用されている訳ですから、ジェネリック薬の使用ではなく、実費負担とすべきことと言えるでしょう。

 

 厚生労働省は27日、生活保護受給者について、医師が問題ないと判断すれば、先発医薬品より安い後発医薬品(ジェネリック)を原則使用することを生活保護法に明記する方針を固めた。受給者の高齢化に伴い増え続ける医療費(医療扶助)の抑制が狙い。今国会に同法改正案を提出、2018年10月の施行を目指す。

 医療扶助は全額が公費負担。15年度の場合、生活保護費約3兆7000億円のうち約1兆8000億円と最も多い。厚労省は抑制に向け、受給者の後発薬の使用割合を18年度中に80%以上にする目標を設定している。

 

 モラル・ハザードが起きて当然の状況と言えるでしょう。なぜなら、生活保護を受給していれば、タダで医療サービスを享受できる上、医薬品も無料で手に入れることができるからです。

 生活保護受給者の高齢化が進めば、医療費は現状以上に膨れ上がります。国の財政を圧迫する大きな要因の1つとなる訳ですから、医療費の抑制は待ったなしの状態なのです。

 

1:「同じ医療サービスをタダで受けられる」という “特権” を有していれば、批判を受けるのは当然のこと

 マスコミは生活保護受給者を「弱者」と位置づけていますが、共感を呼んでいる様子はあまりありません。これは “特権” を有していることが知れ渡ったからでしょう。

 生活保護受給者が持つ “特権” の1つは医療費負担です。

  1. 生活保護受給者:無料(医療扶助=全額公費負担)
  2. 後期高齢者:2割負担
  3. 健康保険加入者:3割負担

 同じ医療サービスが提供されるにもかかわらず、負担の割合が極端に低いのです。これには多数派で、健康保険制度そのものを支えている保険証を持つ人々が反感を覚えることでしょう。

 そのため、同情が広がりにくい状況が作られることになるのです。

 

2:“他人の金” であるほど、ムダ遣いに歯止めはかからない

 厚労省は増加し続ける生活保護費の医療費(医療扶助)を抑制しようとしています。しかし、効果は極めて限定的で終わるでしょう。

 生活保護受給者にとって、医療扶助は “他人の金” なのです。どれだけ医療扶助を浪費したとしても、生活保護受給者の懐は全く痛まないのですから、ムダ遣いを止める理由は皆無と言えるでしょう。

 また、医療機関にとっても、生活保護受給者はオイシイ存在です。

 クレーマー的な患者やコンビニ受診をする患者は負担が増す “厄介者” ですが、医療費を踏み倒されるリスクはゼロです。つまり、ポイントによって算出される医療報酬を高くすることに協力的な患者を確保することができれば、“超優良患者” にもなる存在なのです。

 

3:「医療費と先発薬の費用は生活保護受給世帯でも実費負担、ジェネリックは無料」とすべき

 生活保護受給者の医療費(医療扶助)を抑制したいのであれば、実費負担に舵を切ることが必要不可欠です。

 その決断をしない限り、医療扶助に歯止めがかかることはないでしょう。生活保護受給者の医療費は増加することが予想されていますので、負担をする側である納税者の生活保護に対する不満も大きくなるでしょう。

 それを防ぐためには生活保護者の医療費と先発薬の費用は実費負担とすべきです。

 同じ医療サービスを享受する訳ですから、反対意見は通用しないはずです。医療扶助は生活費とは別枠であり、医療機関の受診が難しくなるという主張は “言いがかり” と一蹴されることになるでしょう。

 後期高齢者の2割負担でさえ、批判が渦巻いている状況なのです。生活保護受給者も後期高齢者と同額負担をすることが必須だと思われます。

 

 「受けたサービスに対し、正当な対価を支払う」という当たり前を徹底して来なかったから、生産性が上がらず、ブラック企業が蔓延する土壌を形成する要因になったと考えられます。世間と変わらぬ生活費を保証された生活保護受給者を特別扱いする限り、厳しい批判が止むことはないと言えるのではないでしょうか。