【追記あり】中国・宇宙実験施設『天宮1号(Tiangong-1)』が落下間近、どこかの国が “巻き添え被害” を受ける可能性

 アメリカ CNN によりますと、中国の宇宙実験施設『天宮1号(Tiangong-1)』が数日中に地球へ落下する確率が極めて高くなったと欧州宇宙機関(ESA)が発表したとのことです。

 役割を終えた宇宙実験施設は大気圏に突入させることが一般的です。その際、コントロール下で海上に落下させ、航空活動や地上活動への影響を最小限にするのですが、『天宮1号』が2016年3月以降から制御不能に陥っていることが最大の懸念点と言えるでしょう。

 

 制御不能に陥った中国の宇宙実験施設「天宮1号」が、数日中に地球へ落下する見通しとなった。同施設の観測を続けている欧州宇宙機関(ESA)が明らかにした。

 ESAによると、天宮1号は3月30日~4月2日の間に大気圏に突入する見通し。ただしこの予測は変わる可能性も大きい。

 『天宮1号』が地球上に落下する確率が現時点でも最も高いのは2018年4月1日でしょう。ただ、これは計算上の数字であり、「実際に落下する日となるか」は数日前まで判明できない状況となっています。

 そのため、「どこに落下するリスクがあるのか」という点においても、見通しを出すことが難しく厄介な存在となっています。

 

『天宮1号』の落下する可能性がある地域は広大

 欧州宇宙機関(ESA)が発表している『天宮1号』が落下する恐れのある地域は以下のとおりです。

画像:EPAが発表した『天宮1号』が落下する恐れのある地域

 緑色で示された北緯45度から南緯45度までの広いエリアが「落下の恐れがある地域」となっています。これは『天宮1号』が描く衛星軌道から算出された地域です。

 現状の軌道は「緑色で示された曲線」で描かれていますが、落下の際に「どれだけ現行の衛星軌道に沿って落下するか」は不明です。そのため、「落下の恐れがある地域」が広範囲に及ぶ結果となっているのです。

 

日本上空を『天宮1号』が通過するのは1日5回

 日本の上空を『天宮1号』が通過するのは1日5回です。人工衛星は約90分で地球を1周するため、上空を通過するために要する時間は一瞬と言えるでしょう。

 ちなみに、落下が予想される4月1日に『天宮1号』が日本上空を通過する時間と場所は次のとおりです。

 

1:4月1日午前5時1分頃(日本時間)

画像:『天宮1号』の予想位置:4月1日午前5時1分頃(日本時間)

 まず、午前5時頃に青森県・陸奥湾の上空を通過します。この約90分後(1時間30分後)に、2度目の上空通過が起きるのです。

2:4月1日午前6時34分頃(日本時間)

画像:『天宮1号』の予想位置:4月1日午前6時34分頃(日本時間)

 2度目の上空通過は北海道を横断する形です。北海道の中心都市である札幌市の上空付近を通過することが予想されているのですから、落下する場所によっては大きな被害が生じる恐れがあります。

3:4月1日午前8時6分頃(日本時間)

画像:『天宮1号』の予想位置:4月1日午前8時6分頃(日本時間)

 3回目の上空通過は秋田県から岩手県にかけての東北地方を東南東方向に横断するというものです。ここも秋田・盛岡という中核都市の近くを通過することが想定されるため、予防策が必須と言えるでしょう。

4:4月1日午前9時37分頃(日本時間)

画像:『天宮1号』の予想位置:4月1日午前9時37分頃(日本時間)

 4度目は山陰地方から紀伊水道へと南東方向に通過します。落下の際に東側へ進路が逸れると、神戸・大阪という近畿の都市圏に直撃する恐れがあり、動向を見守る必要があります。

 5度目は午前11時10分頃に沖縄・宮古海峡の上空を通過するため、地上活動への影響は他の4度と比べて少ないと言えるでしょう。

 

「Jアラートで落下注意情報を発信できるのか」と国会で問い質しておく必要があったのでは?

 『天宮1号(Tiangong-1)』の落下予想時刻は日本時間で2018年4月1日13時前後と現時点では推測されています。

予測どおりであれば、日本への影響はないでしょう。ただ、落下日時は「前後する可能性がある」と研究機関が警鐘を鳴らし続けているだけに、日本の領土・領海に落下する恐れは依然として残っている状況なのです。 

 危険があることを知らせるには『Jアラート』で瞬時に情報発信することが効果的ですが、運用体制などでトラブルがマスコミで何度が報じられています。

 そのため、「中国の宇宙実験施設が日本国内に落下する恐れがあることを『Jアラート』で警戒を呼びかける準備は整っているのか」という点を国会で質問しておく価値はあったと言えるでしょう。また、実際に質疑されていたのであれば、マスコミはそのことを取り上げておく必要があったはずです。

 国民の財産・生命を守るために不可欠な国会論戦を行わない政党・政治家は不要ですし、倒閣運動に熱中するマスコミも不要な存在と言えるのではないでしょうか。

 

■ 追記(2018年4月1日)

 欧州宇宙機関(ESA)が情報を更新し、「4月1日深夜から翌2日の早朝(協定世界時)に『天宮1号』が墜落する見通し」と発表しました。

 日本時間では4月2日午前9時から午後3時頃までが墜落予想時刻となります。ちなみに、4月2日に『天宮1号(Tiangong-1)』が日本上空を通過する時間帯は以下のとおりです。

画像:『天宮1号』の予想位置:4月2日(日本時間)

 4月1日とは通過するルートと時間帯が若干異なります。ESA が発表した予想時間帯は沖縄上空を通過するため、注意する必要があると言えるのではないでしょうか。