難民問題が深刻化する EU がアフリカで最大1000万人の雇用創出に向けた計画を発表

 NHK によりますと、欧州委員会がアフリカで最大1000万人の雇用創出を目指す計画を発表したとのことです。

 「アフリカとの連携強化」を掲げていますが、成立するかは「域内に流入する経済難民の抑制に貢献できるのか」が鍵になるでしょう。なぜなら、難民問題は地中海に面する国々にとって喫緊のテーマだからです。

 

 EUの執行機関にあたるヨーロッパ委員会は、アフリカとの連携強化に向けた新たな計画を取りまとめ、14日に発表しました。

 計画では、来年からの5年間で、アフリカ域内で最大1000万人の雇用の創出を目指すとしています。

 そのための具体策として、再来年までに75万人を対象に技術研修などの人材育成を進めるほか、日本円で100億円規模の投資をして、中小企業の育成や発電施設、道路などインフラ整備を強化するとしています。

 簡単に言うと、「ODA (=政府開発援助)の EU 版を立ち上げ、アフリカへの影響力を維持したい」というものです。

 ただ、アフリカの資源国には中国が猛アプローチを展開中です。100億円規模では太刀打ちすることは非現実的と言えるでしょう。そのため、本当の狙いは「EU に押し寄せる経済難民を抑制すること」であると考えられます。

 

監視の緩い EU 加盟国への自称・難民による流入は続く

 難民によるヨーロッパへの密航はイタリアが主な目的地となっていました。しかし、政権交代によって国境の警備が厳格化。それにより、スペインが目的地になりつつあると朝日新聞が報じています。

画像:難民流入数の変化を報じる朝日新聞

 移民や難民の受け入れ政策を巡って揺れる欧州で、スペインにアフリカからの難民申請者が押し寄せている。主要な欧州の「玄関口」だったイタリアが受け入れ拒否に転じたためだ。スペインの現政権は寛容さを示すが、足元では不満もくすぶり始めている。

 難民の多くがこれまでイタリアを行き先にしていた理由は「密航ルートが確立されていたから」です。アフリカ大陸のリビア領海付近で難民ボートを NGO の船舶が “救助” し、イタリアに難民の保護を要請することが定番のルートでした。

 これではイタリアが態度を硬化させて当然です。NGO は自分たちの登録国で難民を保護するのではなく、第三国であるイタリアに難民保護の負担を押してつけていたからです。そのため、政権交代で自称・難民の密航者に厳しい姿勢が鮮明になると、流入者数が減少に転じることは必然と言えるでしょう。

 

「EU への難民流入数が減り」、「偽装難民の送還先ができる」というメリットは存在する

 ヨーロッパと比較すれば、アフリカは「コストが安い」という利点があります。そのため、アフリカ側で対処できる問題は対応させた方が長期的にはメリットを享受できるという恩恵があるのです。

  • EU への難民数が減少(例:ソマリアなど)
  • すでに EU に流入した偽装難民の送還先ができる
  • 『アフリカでの成功例』をシリア難民の対応に活かせる

 難民問題で反発が起きる理由は「受け入れ国の価値観を拒絶する難民」と「社会保障の負担を増やすだけの難民」が無視できない規模で存在するからです。

 フィルタリングを機能させることで、両者が不幸になることを避けることはできます。しかし、“人道主義” を声高に主張する団体がフィルタリング機能を無効化させようとし、政府がその声に配慮してしまうと、負担のしわ寄せが一般市民に押し寄せるのです。

 難民の絶対数を減らすことができれば、難民が起因となった問題の絶対数も減少します。国境の警備を強化することに莫大な予算を費やすより、難民発生国周辺の経済を発展させた方が難民問題の解決策としてのコストパフォーマンスは良いと言えるでしょう。

 そのための具体策と効果が注目されているのです。

 

 移民は「個人が持つスキル」で受け入れを判別されますが、難民の場合は「個人を取り巻く環境」で受け入れを判別されるのです。

 『受け入れ国が求めるスキルを持つ移民希望者』と『密入国者』を “一緒くた” にするマスコミが難民問題を大きくした元凶と言えるでしょう。

 「難民受け入れ」を要求するマスコミが難民を雇用したことを記事で誇らしげに報道していないのですから、まともに対応するだけ馬鹿げていると言えるのではないでしょうか。