“人助け” という名目で密入国幇助が免罪となることは大きな問題である

 複数の NGO がアフリカからヨーロッパを目指す自称・難民を海上で “救出活動” を行っており、これが「密航業者と結託し、密入国を手助けしている」との批判が起きています。

 その中で、ドイツの NGO が密航業者と連絡を取り、難民を受け入れていたとしてイタリア検察に船を拿捕されたと NHK が伝えています。負担の責任を他人に押し付けるリベラル派のエゴが全面に現れた事案だと言えるでしょう。

 

 地中海ではアフリカからヨーロッパを目指す難民や移民を乗せたボートが沈むなどして死亡したり行方不明になったりする人が相次ぎ、複数のNGOが船で救助活動を行っています。

 こうした中、イタリア・シチリア島にある都市、トラパニの検察は2日、密航を助けたとして、救助活動にあたってきたドイツのNGOの船を拿捕し、船内を捜索して乗組員に事情を聴いたことを明らかにしました。

 

 自称・難民や移民目的の人物を “救出する” 活動を行っている NGO の手法は「公海上で難民らを待ち受け、イタリアに輸送する」というものです。

 多くの自称難民の出発地であるリビアの領海には入ることは国際的にも批判を受けますが、公海上であれば問題とはなりません。つまり、難民船の乗客をリビア領海と公海のギリギリの位置で “救出” し、イタリアの難民センターに送るというやり方を行っていたという経緯があるのです。

 

1:ヨーロッパは「難民が最初に到達した国」に受け入れ義務がある

 拿捕された “ドイツの NGO” が姑息なのは救出した難民をイタリアに連れて行っていることでしょう。距離的にイタリアが最も近いのですが、イタリアからすれば大きな迷惑行為です。

 なぜなら、EU では難民が最初に到達した国で申請など受け入れ義務が科されており、それによって地方政府の財政が圧迫されることになるからです。

 自称・難民らによって行政予算が圧迫されていないヨーロッパ北部のリベラルは自分たちが損害を被っていないこともあり、人道支援を支持するでしょう。しかし、必要な行政サービスを削られた地域の住民ほど難民への反発は強くなるのです。

 

2:なぜ、ドイツの NGO は救出した難民をドイツで支援しないのか

 「困っている人を助ける」という姿勢はすばらしいものです。しかし、「その必要性を感じていない人から強制的に予算を徴収することは論外」と言わなければなりません。

 ドイツの NGO が救出した自称・難民をイタリア・シチリア島などの地方政府が自らの予算を使って支援する。これほどバカげた行政運用はないと言えるでしょう。

 なぜ、ドイツの資金は費やされていないのでしょうか。ドイツ国内で保護するなら、まだ理解はできます。しかし、負担はイタリア南部に押し付け、自分たちは違法行為を含めた活動で名声を得ようとする姿勢こそ、厳しく批判されるものだと言えるはずです。

 

3:密航の幇助は犯罪行為である

 難民の受け入れを支援している団体が良く使うロジックに「密入国しか方法がない」というものがあります。

 しかし、これは詭弁です。人道上の問題があるなら、「その国にある外国大使館に駆け込み、保護を求める」という密入国をせずに済む方法があるからです。

 人道上の支援を惜しみなく行っているヨーロッパ各国の大使館なら、難民保護に手を差し伸べてくれることでしょう。

 そうした行為をせず、密入国という手段を選択している時点で保護の対象から外すべきなのです。行政に自称・難民の生活費を支出させ、自分たちは活動を宣伝することで寄付金を得たいだけというフリーライダーの要素が強い NGO は締め出さなければなりません。

 他者の善意にタダ乗りし、負担を押し付ける “意識の高い系” NGO に対する警戒感を養う必要性があると言えるのではないでしょうか。