「辺野古の重機損壊事件に対する是非」を問われた玉城知事が記者団にノーコメントを連発、河野外相の時と同様にメディアは批判しなければならない

 普天間飛行場などを名護市辺野古に移転するための埋め立て工事が再開されましたが、埋め立てが始まった12月14日以降に工事用重機に対する破壊行為が複数確認されたと読売新聞が報じています。

 移設反対派による妨害工作である可能性が極めて高く、行為そのものが批判の対象となるべきでしょう。また、こうした問題行為に対し、沖縄県の玉城知事が記者からの問いにノーコメントを貫いている姿勢も厳しい批判にさらされるべきものと言えるでしょう。

 

 防衛局などによると、18日午前、土砂の搬出に使用する名護市の民間桟橋付近で、重機の鍵穴に接着剤が流し込まれ、給油タンクに穴が開けられているのが見つかった。埋め立てが始まった14日前後には、名護市の米軍キャンプ・シュワブ内でも、重機に同様のトラブルが確認されるなどしたという。岩屋防衛相は18日、防衛省で記者団に「工事に大きな支障が出ているという状況にはない」と述べた。

 一方、同県の玉城デニー知事は同日、県庁で記者団からこうした行為の是非を問われ、「コメントは控えたい」と繰り返した。

 まず、工事用重機の破損を試みるという行為自体が犯罪です。そのため、移設賛成派・反対派に関係なく、犯罪行為に対する批判の声が出されるべきのなのです。

 それができていない時点で論外だと言わざるを得ないでしょう。

 

工事が中断することでメリットが得られるのは移設反対派

 名護市辺野古への移設工事が進められている理由は「普天間飛行場以南の在日米軍基地が返還されるから」です。また、移設先も新設させるのではなく、既存の在日米軍基地『キャンプ・シュワブ』の沿岸部を埋め立てるというものです。

 そのため、反基地運動の “定番フレーズ” が使えないという事態が起きているのです。

 反基地運動は「一般市民の生活が脅かされる」という戦法を前面に押し出しますが、三方を海に面したキャンプ・シュワブでは使えません。埋め立て工事によって誕生する滑走路を利用する航空機は海上から侵入する設計が採用されているからです。

 現状で唯一の反対理由となるのは「沖縄の豊かな海を守れ」という主張なのですが、これは『那覇空港の拡張埋め立て工事』が存在するため、失笑を買う原因となっています。

 また、犯罪行為をしてでも移設工事を止めようとした輩が出た以上、移設推進派は工事を止められなくなってしまいました。これは「過激な抗議活動をすれば、法的根拠に基づく決定事項をも覆せる」との “悪しき前例” となってしまうからです。

 工事が止まるメリットは辺野古への移設反対派だけが得られるものと言えるでしょう。

 

「器物損壊罪に相当する行為への是非」を問われた玉城・沖縄県知事は回答を拒絶

 辺野古の埋め立て工事で利用される重機を損壊しようとした行為に対する是非を記者団から質問された沖縄県の玉城知事は「コメントを控えたい」と述べるに留まってします。

 これは問題のある対応と言わざるを得ないでしょう。なぜなら、質問された内容は「器物損壊行為に対する是非」であり、「辺野古への移転の是非」ではないからです。

 「器物損壊罪に該当する行為は容認されない、そうした行為は支持者や支援者が離れる原因となる」と一般論に基づく形で批判すれば良い話です。しかし、玉城知事は見解を述べることを拒否しているのです。

 なぜ、違法行為を批判できないのでしょうか。

 これでは違法行為を容認していることと同じです。それとも、そうした行為を平然と行う輩を批判すると何か不都合なことでも生じるのでしょうか。もし、そのような現実が沖縄に蔓延しているのであれば、それを是正するのが現職の沖縄県知事である玉城デニー氏の役割であるはずです。

 

記者団からの質問に真摯に対応しない玉城県知事をメディアは厳しく非難しなければならない

 玉城知事の姿勢は批判の対象となっても止むを得ないものですが、メディアも今後の対応次第では厳しい批判にさらされることになるでしょう。

 なぜなら、マスコミは「ロシアとの領土問題交渉」を担当する河野外相に対し、「記者からの質問に誠実に回答しないなどあり得ない」とバッシング記事を書いて批判したからです。

 沖縄の玉城知事も記者団からの質問に「コメントを控える」と繰り返し、河野外相と同じスタンスを貫いたのですから、同様のバッシングを浴びせるべきでしょう。もし、自重するなら、明らかなダブルスタンダードとなってしまうからです。

 質問内容が「違法行為の是非」であっただけに回答を拒む玉城知事の姿勢は疑問が呈されるのは当然です。この状況では沖縄県が企業の投資先として魅力に映ることはないのですから、こうした点も踏まえた批判をすることがメディアの責務と言えるはずです。

 

 平気で違法行為に手を出す人物が紛れ込んでいる移設反対運動に対し、「違法行為をするような人物・団体を移設反対運動から排除すべき」と注文を付けることができない時点で、運動の大義名分は消滅したに等しいと言わざるを得ないのではないでしょうか。