法治国家であるなら、沖縄の翁長知事個人に損害賠償を請求することは当然だろう

 菅官房長官が27日に行われた記者会見で名護市・辺野古の埋め立て承認を撤回することを示したことに対し、「職権乱用であれば、損害賠償を行うこともある」と発言したと NHK が伝えています。

 和解事項を無視して、損害を与える行為をするのであれば、公務員職権濫用罪に問われることでしょう。政府が “一般論” としてそのように発言することは当然のことだと言えるはずです。

 

 菅官房長官は27日午前の記者会見で、沖縄県の翁長知事が、アメリカ軍普天間基地の移設先の埋め立て承認を撤回する方針を示したことについて、一般論としたうえで、権限の乱用が認められれば、知事個人に対して損害賠償請求を行うこともあり得るという考えを示しました。

 (中略)

 菅官房長官は「一般論だが、行政の長が法令によって与えられた権限を、その法令とは異なる目的で行使することは権限の乱用であり違法だ。違法な行為に対し、政府が損害賠償請求権の行使を含め法令に基づく所要の措置を講じていくことはあり得る」と述べ、知事個人に対して損害賠償請求を行うこともあり得るという考えを示しました。

 

 辺野古沖の埋め立て承認を巡っては裁判が行われ、適法であり、承認要件は適切かつ環境保全も問題ないと確定しています。

 これを知事が「問題あり」と撤回すれば、職権乱用と取られる可能性は十分にあると言えるでしょう。なぜなら、刑法193条で『公務員職権濫用罪』が定義されているからです。

 刑事罰に該当する行為であれば、それによる損害を受けたことを理由に民事上での責任が生じます。“損害賠償” については民事上でのペナルティーと見なすべきです。

 

 刑法193条の条文は以下のものです。

第百九十三条  公務員がその職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害したときは、二年以下の懲役又は禁錮に処する。

 辺野古沖の埋め立てを止める法的根拠はありません。翁長知事が埋め立て工事を妨害することを行えば、“人に義務のないことを行わせること” に該当し、国が最高裁で得た “辺野古沖で埋め立て工事を行う権利の行使を妨害すること” になると見なされるでしょう。

 知事が職権を濫用したにもかかわらず、その責任を一切取らなくて済むのであれば、法治国家としての体をなさないことは明らかです。ルールを守る正直者がバカを見るような事態に陥らないようにすることが必須条件だと言えるはずです。

 

 権限を持たないにも関わらず、原子力発電所の運転再開を妨害する都道府県知事もいますので、そちらについても同様に損害賠償の対象とすべきでしょう。

 “拒否権” を持たない人物が拒否権を保持ているかのように振る舞い、社会に悪影響を及ぼしているのです。そのことを批判するマスコミが皆無であることも問題です。

 ゴネ得が容認されるような社会では優秀な人ほど、流出する結果を招くこととなります。フェアな環境ではない地域に留まる魅力はゼロでしょう。観光業における魅力も年々失われることになる訳ですから、衰退に拍車がかかることを意味しているのです。

 

 「騒げば国が忖度し、何とかしてくれる」と考える甘い姿勢から脱却しない地方自治体が目立って来ていますので、ここは灸をすえる必要があると言えるのではないでしょうか。