日テレ世論調査で豊洲移転派が反対派を上回り、築地市場の継続は一層に困難に
築地市場の豊洲への移転を止め、夏の都議選で争点としている小池都知事ですが、逆風が強まっています。
「築地継続は豊洲移転よりコスト高」との都の試算が明らかになったと NHK が報じており、日本テレビが行った3月の世論調査でも「豊洲移転派が反対派を上回る数値が出ている」からです。
築地市場の豊洲への移転が延期される中、このまま築地で営業を続けた場合、年間にかかるコストは現時点で少なくとも84億円、業者への追加補償を含めると100億円を上回り、豊洲に移転した場合の77億円よりもコストがかさむことが東京都がまとめた試算でわかりました。
NHK が報じたニュースは都政運営で「賢い支出(= wise spending)であるかを重視する」と宣言している小池知事が “賢い決断” をする政治家であるかを見極める要素となるでしょう。
なぜなら、築地市場を継続させるコストが高くなることが明らかになったからです。
- 豊洲市場のコスト:77億円
- 築地市場の現状コスト:84億円
- 築地市場のコスト(+追加補償等):100億円超
一時的なコストではなく、年間コストなのですから築地に留まり続ける理由を見つける方が困難と言えるでしょう。NHK が報じたニュースは24日付のものですが、日テレが3月 17〜19 日で行った世論調査で移転派の方が多いとの結果が出ているのです。
築地市場の豊洲への移転問題について、今後、どう対応すべきだと思うかという問いに対する回答は以下のものだったからです。
- 豊洲市場へ移転すべき:31.6%
- 移転は断念し、築地での建て直しにすべき:25.5%
- 豊洲・築地以外に移転すべき:14.7%
- その他:5.1%
- わからない・無回答:23.1%
「全国の有権者の意見であり、都民の意見ではない」と方向性の変更を固辞することは可能でしょう。しかし、豊洲への移転反対派が情勢を盛り返す “切り札” が見当たらない状況であることに変わりありません。
もし、小池百合子知事が国政で再び存在感を発揮したいと思っているなら、ワイドショーで名前が売れることは本人にとってはプラスです。しかし、築地市場の卸問屋や余計な支出が増えることになる都民にとってはマイナスでしかないのです。
豊洲市場への移転を妨害するために手段を問わなかった反対派ですが、世論調査で風向きが変わったことが浮き彫りになったことで1つのターニングポイントを迎えたと言えるでしょう。
“都民ファースト” を掲げるのであれば、移転を容認する意見が反対派を上回っている現状を受け入れることは必須です。築地市場に残る方がコスト面でも高くつく試算が出ているのですから、移転反対派は戦術そのものを変換する必要があることは明らかです。
反対派として、票を集める算段を立てていた小池都知事がどう方向性を修正するのか。正念場を迎えていると言えるのではないでしょうか。