豊洲市場から観光施設を撤退させた小池都知事、「江東区が移転に難色を示している」と責任転嫁

 中央卸売市場の機能を持つ築地市場の移転が宙に浮いたままになっています。

 小池百合子・東京都知事と都民ファーストの会が築地市場再整備などを打ち出し、『当初のプラン』を撤回したことによる影響が出ているのですが、「移転ができない理由は江東区が難色を示しているから」と責任転嫁を始めたことを NHK が伝えています。

 

 豊洲市場のオープン日は都と市場業界の間で最終的な調整を進めていましたが、地元の江東区の区長が「豊洲市場での観光施設の整備が確定されない限り、移転の受け入れを再考せざるをえない」という認識を示したことで、決定が先送りされました。

 これに対し小池知事は10日の記者会見で「移転には地元の江東区のご理解ご協力をいただくことが重要だ」と述べました。

 そのうえで、江東区が求めている観光施設の整備については「豊洲市場の開場とできるだけタイミングを合わせたいというのが江東区の気持ちだと思うので、それをとらえて都としても真摯(しんし)に調整を図っていきたい」と述べ、区側の意向を尊重しながら移転に支障が出ないよう調整に努める考えを示しました。

 

 

1:江東区は「市場本体と観光施設のセットが移転の条件」と明言済

 小池都知事が “新たなスケープゴート” にしようとしている江東区ですが、豊洲新市場の移転条件は以前から明確にしています。これは2017年7月に朝日新聞が報じた記事からも分かることです。

画像:朝日新聞が報じた記事
  • 江東区が豊洲新市場に求めていた2条件
    1. 中央卸売市場の機能(=築地市場の移転)
    2. 商業・観光拠点(=『千客万来施設』)

 小池都知事が就任した時点では上記2点は満たされる形で計画が動いていました。

 しかし、小池都知事と都民ファーストの会が「安全だが、安心できない」などとゴネ始め、『当初の計画』とは前提条件そのものが大きく変わる状況となったのです。

 

2:江東区との約束は何1つ果たされていない

 小池都知事は2017年6月に「築地は守る、豊洲は活かす」と発言し、築地場外市場の再整備を行う意向を示しました。これまでの行動がいかにデタラメだったかを示すことにしましょう。

 江東区の主張内容は区議会議長を務める榎本雄一氏の名義で公開されています。これによりますと、平成23年(2011年)の時点で以下3項目の約束が東京都と交わされているのです。そのすべてを小池都知事が覆しているのですから、責任は大きいと言えるものです。

  • 土壌汚染対策
    → 「安全だが、安心できない」と風評を振りまく
  • 交通対策
    → 地下鉄8号線の延伸の見通しは立たず
  • にぎわいの場の創出
    → 「築地場外の再整備」を宣言
    → 豊洲から運用事業者の撤退が現実に

 3つの約束すべてを破る行為をしておきながら、移転ができない責任を江東区に転嫁しようとしているのです。批判されるべきは合意事項を平気で覆してきた小池都知事自身なのです。

 

 一部のマスコミは「移転日が提示された途端、江東区がゴネ始めた」という間違った印象を読者に抱かせるような内容の記事を書いています。

 しかし、実際には東京都と江東区の合意事項を小池都知事がことごとく覆したことが原因で、江東区が「話が違う」と批判しているのです。地方自治体の長という立場にある人物が、科学的・論理的根拠に基づかず独断で覆してきたことを尾を引いているのです。

 その責任を問われるのは小池都知事であって、江東区ではありません。マスコミはデタラメすぎる都政運営をしている小池都知事と都民ファーストの会の責任を問う必要があるのではないでしょうか。