小池都知事、豊洲市場移転で観光施設運営会社からの訴訟があるなら応戦すると宣言

 豊洲市場への移転時期が徐々に固まりつつありますが、移転が遅れたことなどによる損害額はまだ確定していません。

 その中で、小池都知事が「築地も観光の拠点にする」と宣言したことにより、損害賠償請求をされる可能性があります。これに対し、小池都知事が「受けて立つ」との意向を示したと NHK が伝えています。

 

 東京都の小池知事は、築地市場の業界団体のトップが豊洲への移転の時期を、来年9月から10月で調整したいという考えを示したことについて、業界の意向も踏まえて移転時期の検討を進める考えを示しました。

 (中略)

 一方、豊洲市場の敷地内に整備される予定の観光施設の運営会社が、築地も観光拠点として再開発されれば撤退せざるをえないという意向を示していることについては、「去年、都と事業者とで基本協定が結ばれていて、これをしっかりと守っていくことが豊洲の一角のにぎわいを確保することになる。仮に事業者が都に損害賠償請求するとしたら、何をもって損害とするかは法的にチェックしないといけない」と述べました。

 

 

1:東京都が「賠償する責任」を負う可能性は極めて高い

 小池都知事がどう釈明しようと、現状では東京都が賠償する責任を負う可能性は極めて高い状況です。豊洲市場の敷地内で観光施設を運営する会社に対し、次のような不利益を現時点で与えているからです。

  • 予定されていた移転時期を見送った
    → 工期がストップし、建設費が予算超となる
  • 築地にも同様の観光拠点を作ると宣言
    → 観光拠点は豊洲市場のみとの条件で運営会社を募っていた

 都知事によって下された2つの判断が「損害を与えた」と司法で見なされる可能性は十分すぎるほどに存在します。逆に、「損害を与えたとは言えない」との判決が出る方が “晴天の霹靂” と言えるでしょう。

 

2:“損害賠償” ではなく、“違約金” とマスコミが忖度してくれるかもしれない

 ビジネスを行う上の前提条件を行政サイドがした場合、損害賠償を免れるというケースは存在しません。これは行政側の責任として賠償責任が発生します。

 豊洲市場での観光施設の運営権を持つ会社は「都心に近くアクセスが良い築地市場跡地に同様の観光施設ができる」とは聞かされていないでしょう。もし、事前に知っていたなら、豊洲市場ではなく築地市場跡地での観光施設運営権の取得に注力していたと考えれるからです。

 「観光施設は豊洲市場だけ」という前提で運営管理をする企業を募り、後になってから「やっぱり、築地でもやります」というのは騙し討ちであり、詐欺です。

 当然、損害賠償の対象となるでしょう。もちろん、話し合いで解決できれば、「 “損害賠償” を “違約金” という名目で支払った」という形でマスコミが忖度して報じてくれるはずです。ただ、世間一般で働く人々からの印象は著しく悪化することになるでしょう。

 

3:小池都知事による行政予算の無駄使いと独裁を批判すべきではないか

 マスコミの小池都知事に対する “甘やかしぶり” は異様と言えるでしょう。「ワイズ・スペンディング(=賢い支出)」などとカタカナ表現を取り上げるのであれば、「豊洲移転を延期したことはワイズ・スペンディングと言えるのか」と質問しなければなりません。

 政治ネタが欲しいあまり、取材対象者にゴマをするようでは “権力の監視” など到底不可能なことです。

 小池都知事が「独断」で決定を繰り返している『豊洲市場の移転問題』では既に予算の浪費が生じています。また、観光施設を運営する(予定の)会社からは損害賠償請求を起こされそうな状況となっているのです。

 そのような事態に陥った原因を調査し、報道することがマスコミに期待されていることと言えるでしょう。もし、現在の東京都知事が自民党・安倍政権の近い距離にある人物であれば、マスコミは都知事の決定内容などを厳しく批判していたはずです。

 小手先のテクニックで誤魔化すのではなく、問題に正面から取り組むべきだと小池都知事に方針転換を促すことも必要なことと言えるのではないでしょうか。