ロシアとケニアの選手にだけ「国外機関でのドーピング検査」を条件づけるIOCのバカバカしさ
陸上の中長距離種目を中心に蔓延しているドーピングスキャンダルを受け、IOCはロシア陸連以外の選手とケニアの選手は国外でのドーピング検査を受けることを条件にリオ五輪出場を認めると発表したことをNHKが報じています。
IOC=国際オリンピック委員会は21日、オリンピックの出場資格について検討する会議を開き、国際陸上競技連盟がロシア陸連の資格停止を解除しないとする判断を尊重する方針を示しました。そのうえで、ロシアの陸上競技以外の選手とケニアの選手については、国内のドーピング検査体制が機能していないとして、国外での検査で問題がなかった場合にのみリオデジャネイロオリンピックの出場を認めることを決めました。
確かに国内でのドーピング検査体制が正常に機能していないロシアやケニアに対する処分内容としてはまっとうと言えるでしょう。しかし、不十分な対応であることは明らかです。
IOCのバッハ会長は「リオデジャネイロオリンピックに参加するすべての選手に公平な競技の場が与えられなければならない」と強調しています。
つまり、それならばオリンピックに出場するすべての選手にIOCが指定するドーピング機関で “クリーンであること” を証明するよう義務づけるべきであることは言うまでもないことなのです。
すべての選手に公平な競技の場が与えられるべきであるなら、出場資格を獲得した選手全員が同じ条件でドーピング検査も受けていなければなりません。
ロシアやケニアで起きたケースはロシアやケニアだけの事例ではなく、氷山の一角であるという認識をIOCが持つことが不可欠です。この認識で厳格な対応を行わない限り、ドーピングが蔓延した状態が続くことになるでしょう。
ドーピングに関わった選手やその関係者に処分を科すことは大事なことですが、現在もドーピングに関わっている選手やその関係者を見つけ出し、処分を下すことも同じぐらい重要です。根本的な対策を行わず、表面的なペナルティーで終わらせようとする姿勢は「バレなければ、ドーピングをした方がリターンが大きい」という間違ったメッセージを送ることになります。
組織として腐敗したIOCや国際陸連が腐敗した選手の行為(=ドーピング)を見つけるために本腰を入れることは “望み薄” かもしれません。なぜなら、取り締まる側に過去に選手としてドーピングに手を染めていた人物がいる可能性があるからです。
そういった過去のしがらみに捕らわれることなく、改革を断行できる “空気の読めない” パワフルな人物が必要なのですが、適任者は存在するでしょうか。根本的な解決策を実行しない限り、陸上競技の世界的な人気衰退は避けられないと自覚する必要があります。