野党第1党の代表が小選挙区を回避し、比例単独1位で戦うことは恥ずべきこと

 民進党の蓮舫代表を次回の衆議院議員選挙で比例単独1位として戦うことを執行部が検討していると共同通信が報じています。

 「首相の座を狙う」と公言する党の代表が小選挙区で過半数の支持すら得られない状況では話になりません。少なくとも、小選挙区1本で勝負することが総理大臣としての条件と言えるのではないでしょうか。

 

 民進党執行部が、次期衆院選で参院からのくら替えに意欲を示す蓮舫代表について、比例代表単独で立候補し、東京ブロックの名簿登載順位1位とする案を検討していることが分かった。党関係者が21日明らかにした。ただ党内からは「党首なら小選挙区で戦うべきだ」(都連関係者)と反発する声も出ており、曲折が予想される。

 執行部は当初、東京の小選挙区を検討した。しかし、多くが現職や公認内定者で埋まっているため、東京ブロックの比例単独候補とする案が有力になった。蓮舫氏は7月の参院東京選挙区で約112万票を得ており、票の底上げが期待できるとの判断もあるという。

 

 2014年に行われた第47回衆議院選挙で比例代表・東京選挙区に割り当てられた議席は17でした。小選挙区比例代表並立制で行われる現行の衆院選で野党第1党の代表が比例単独1位で出馬することは異例のことです。

表1:2014年衆院選比例・東京選挙区での政党別得票数と獲得議席
政党名獲得議席数得票数
自由民主党 6 1,847,986票
(得票率:32.1%)
公明党 2 700,127票
(得票率:12.1%)
民進党 3 939,795票
(得票率:16.3%)
日本共産党 3 885,927票
(得票率15.4%)
維新の党 3 816,047票
(得票率:14.2%)
次世代の党 0 253,107票
(得票率:4.4%)

 

 衆院選の比例東京選挙区では「30万票で1人当選する」と概算することができます。民進党は前回の選挙で3議席分を比例区で獲得したのですが、その1つを蓮舫代表に献上するという執行部の方針は批判を招く要因になるでしょう。

 蓮舫代表が公言する総理大臣になるためには選挙で多数派になることが不可欠です。

 しかし、確実に当選が見込める「比例・東京選挙区の単独1位」を党首に無条件で譲り渡すような政党は民主主義の担い手としては不十分と言えるでしょう。共産党による独裁政権と同じ論理思考に陥ってしまっています。

 

 “党の代表” という立場で蓮舫氏が衆院選を戦うのであれば、小選挙区だけで戦い、覚悟があることを示さなければなりません。

 民進党の代表戦には「富士山から飛び降りる覚悟で戦う」と啖呵を切ったにもかかわらず、衆院選では比例・東京選挙区単独1位であれば、単なるビビりと言われ続けることでしょう。

 解決策は蓮舫代表が東京の小選挙区から単独出馬し、その煽りを受ける民進党の次期衆院選公認内定候補を東京選挙区・比例代表単独1位に回すことです。

 公認内定候補として、地元で “挨拶回り” を開始している候補もいることでしょう。代表個人の鞍替えによる影響を受ける訳ですから、それなりの配慮があって然るべきです。

 

 そうした調整すらできないのであれば、「国政上の難題を解決する能力」を民進党に期待することはできません。自らの国籍に対する説明に何の証拠も提示することなく、逃げ続けている代表を衆議院議員としての地位を約束しようとする民進党のセンスは論外と言えるのではないでしょうか。