パク・クネの現状では「日韓通貨スワップ協定」は前進しないだろう

 菅官房長官が11日に行われた記者会見で日韓の「通貨スワップ協定」を再開することに前向きな考えを示したとNHKが報じています。

 ただ、パク・クネ大統領が苦境に立たされている現状では交渉が具体的に進展することはないでしょう。レームダック状態の大統領ができることは何もないからです。

 

 菅官房長官は11日午後の記者会見で、日本と韓国の関係悪化などを背景に去年終了した、緊急時に通貨を融通し合う「通貨スワップ協定」について、「韓国側から要請があれば、わが国として応えていくことが国益にも資する」と述べ、再開に前向きな考えを示しました。

 

 “韓国からの要請があれば” という条件は付いていますが、韓国との間にスワップを締結するメリットは日本にはありません。

 韓国は日本と同じ加工貿易による貿易黒字で稼ぐ国です。当然、通貨は安い方が国際競争力があることを意味しており、ウォン安の状態を維持できることが韓国にとって理想的な状況となります。

 「日韓通貨スワップ協定」はウォン安に振り切れた際の “命綱” です。そのため、政権はウォン安誘導政策を採りやすく、仮にウォンの暴落が発生したとしても、その時点でスワップを発動させれば通貨問題は解消に持ち込めるため、周辺国に迷惑をかける存在になるリスクが高いことを見落としてはなりません。

 

 また、韓国は通貨スワップを要請できる国内事情ではありません。

 2017年末に任期切れを迎えるパク・クネ大統領がこれからレームダック化するのではなく、すでにレームダック化してしまっているからです。国会議員の3分の2の賛成で罷免・弾劾へと追い込めるのですが、韓国ではそういった動きは見えて来ません。

 100万人デモ(主催者発表)が “民意” と主張するのであれば、弾劾訴追案を成立させるために与野党ともに動くでしょう。しかし、現状ではそうした動きはなく、レームダック状態のパク・クネ大統領を批判するパフォーマンスで人気取りに勤しんでいる状況なのです。

 この状況ではパク・クネ大統領が新たな業績を残すことはないと思われます。「パク・クネの方針に反対する」ことでポイント稼ぎができるのですから、とにかく反対を表明し続ける勢力が存在することになるでしょう。

 

 「道徳的に優れた韓国は日本との約束を反故にしても問題ない」との考えが根付いているのですから、日韓通貨スワップ協定を早急に締結する必要性はありません。

 スワップ再締結後に、“最終的かつ不可逆的に解決した” 慰安婦問題の合意事項を撤回することも十分に考えられることなのです。少なくとも、慰安婦問題を蒸し返す動きがあれば、スワップ協定は失効するという条項を加えておくべきでしょう。

 国家として反日政策を推進する国とスワップ協定を締結するメリットはありません。“通貨の命綱” を提供するのであれば、それなりのリターンを求めることは当然です。無料でプレゼントすれば、それが当たり前となり、タダでないことに文句を言い出すことを学習し、実践する必要があると言えるのではないでしょうか。