建物内が原則禁煙になるのは欧米基準と同様になるだけである

 受動喫煙対策を目的とした健康増進法改正案の概要が明らかになったと読売新聞が伝えています。

 方向性としては欧米の行われている禁煙対策に合わせるものと言えるでしょう。主な変更内容は下表のとおりです。

 

表1:受動喫煙対策による変更内容
現行改正案
小・中学校
医療機関
努力義務 敷地内禁煙
大学/官公庁 建物内禁煙
飲食店 建物内禁煙
(喫煙室設置可)
空港・駅
罰則 なし 過料

 

 現行では “努力義務” であり、対策をサボタージュしても罰則が存在しない状況でした。それが対策に取り組む必要性が生じるようになることが最も大きな変化と言えるでしょう。

 喫煙者にとっては現状より肩身の狭い思いをすることになりますが、この流れを止めることは難しいと思われます。

 

 日本では「屋内は喫煙可」というスタンスですが、欧米では「屋内は禁煙」という制約が課されていることが一般的です。「外で許されている場所か、自宅で喫煙すべき」という考えであり、それに準じた規則が定着する流れが強くなることでしょう。

 現状では「建物内禁煙」という規則が適用される流れとなっていますが、いずれ「出入り口付近での喫煙による煙が建物内に入っている」とのクレームが入り、建物の出入り口周辺Xメートルでの喫煙を禁止するという規則が加わることが予想されます。

 外国の基準と比較すると、タバコの値段は安価な水準です。こちらについても、1箱1000円台近くにまで値上げが徐々に進むことでしょう。

 

 先進国は喫煙に対する視線は厳しいものになります。健康に高い関心が集まり、寿命を縮める原因である喫煙行為による弊害を他者に及ぼすことへの風当たりは強くなる傾向にあります。

 JTもタバコを軸にした経営方針からの転換を図っていますが、その動きはさらに加速するでしょう。途上国で高い収益を誇るビジネスは限界に達しているようです。