駐韓大使の帰任を当面見送った日本政府の対応は正しいものだ

 日本政府は韓国・プサンの日本領事館前に慰安婦像が設置された件で駐韓大使らの帰任時期は韓国側の対応を見極める方針で一致したと読売新聞が伝えています。

 日韓合意について韓国側は何も対応を行っていないのです。具体的な行動を韓国政府が起こすまで日本政府が歩み寄る姿勢を見せる必要はないと言えるでしょう。

 

 一時帰国中の長嶺安政・駐韓大使と森本康敬・釜山日本総領事の帰任時期については、引き続き、韓国側の対応を見極めて判断する方針で一致した。韓国側に少女像を撤去する動きはなく、帰任は当面見送られる見通しだ。

 関係者によると、首相と岸田氏は、韓国政府が少女像撤去に前向きな対応を取らないのは、2015年12月の慰安婦問題を巡る日韓合意の精神に反するとの認識を共有した。帰任時期に関しては、「韓国側に前向きな動きがないから現段階で決められない。韓国側の対応を見極める」との立場を確認したという。

 

 慰安婦像を撤去する動きをまったく見せていない韓国政府が抱える国内事情など日本には関係のないことです。そのため、駐韓大使を帰任させる意味はありません。

 また、韓国では島根県竹島に慰安婦像を設置しようとする動きも出ています。こうした動きを踏まえると、「強硬な姿勢だ」と反発する声に寄り添うことはマイナスになるだけでしょう。

 

 アメリカではトランプ政権が誕生します。ビジネスマンとして実績のあるトランプ大統領がどのような要求をするかは不透明です。

 ですが、韓国の主張に理解を示すことはアメリカの利益に反するため、可能性は低いでしょう。ただ、「日本に譲歩させろ」と韓国側が開き直りを見せることは十分に想定できることですので、そうした動きに対する準備はしておく必要はあります。

 相手側が要求した内容をすべて受け入れているだけでは対等な関係が構築されることはないでしょう。

 プサンの日本領事館前に設置された慰安婦像の撤去が完了しない限り、日本側から歩み寄る必要がないのです。駐韓大使がいなくても、問題はない訳ですし、困るのは役職がなくても業務に滞りがないことが明るみに出つつある外務省ぐらいです。

 

 韓国のことですから、ピョンチャン(平昌)で行われる冬季オリンピックで「竹島は韓国領だ」と宣言するプロモーションをすることも十分に考えられることです。

 外務省はこうした韓国側のプロモーションに徹底的に反論し、「竹島は日本固有の領土であること」を国政社会に宣伝しなければなりません。韓国側の横柄な振る舞いを要求することは国土を韓国に献上することと同じだからです。

 明確な実績を国民に向けてアピールできない限り、外務省が望む韓国寄りのスタンスを国民の多数が容認することはないでしょう。韓国側が日本を敵視する政策を採っていることもあり、反発は強まるばかりであることを見落としてはなりません。

 

 NHKの世論調査でも安倍政権が下した駐韓大使召還を支持する人の割合が半分を超えているのです。

 外務省や朝日新聞が期待する見解を示した人は1割にも満たない数字でした。これが現実なのです。韓国のワガママを黙って聞き入れることに理解を示す人は10%にも満たないことから目を背けてはなりません。

 安倍政権の採った対応に反対なら、より国益に叶うと見られる対案を提示し、国民から理解を得ることが不可欠です。単に韓国の主張を聞き入れるべきという身勝手なものは嫌われて当然です。

 この当たり前のことを理解していない限り、韓国の実態を知った上で嫌う人の数は増加する一途だと言えるのではないでしょうか。