安倍首相、訪問先のドイツで EPA の早期大枠合意に向けて連携することを確認

 ドイツを訪問している安倍首相がメルケル首相と会談し、自由貿易を推進する目的で EU との自由貿易協定である EPA の早期大枠合意に向けて連携することを確認したと NHK が伝えています。

 交渉の枠組み作りを EU のリーダーであるドイツと推進することで合意いたことは1つの成果と言えるでしょう。どういった枠組み内容になるのかを注意する必要があります。

 

 安倍総理大臣は訪問先のドイツで、メルケル首相と会談し、日本とヨーロッパがアメリカとともに協力して、自由貿易を推進していくべきだという認識で一致しました。また、日本とEU=ヨーロッパ連合のEPA=経済連携協定の早期の大枠合意に向けて、連携していくことを確認しました。

 

 アメリカとの経済協定という色合いが強かった TPP は野党やメディアが反対キャンペーンを展開したため、ニュースとしての注目度は高かったと思われます。

 しかし、中国が韓国がメインである RCEP や EU との経済協定である EPA が枠組み交渉が行われていることに注意を払わないのは「政権バッシングのための反対」との批判を受けて当然でしょう。

 なぜなら、RCEP にはオーストラリアやニュージーランド、EPA にはオランダなどの農業国が加盟国として含まれているからです。協定が発効することで、乳製品が関税ゼロで入ってくることは十分に考えられます。

 TPP で反対したのですから、RCEP や EPA でも同じ理由で反対を表明しなければ、主張の整合性が取れていないとの批判を受けることになるのです。

 

 安倍首相が成果を出したと言える理由は「自由貿易協定である EPA の大枠合意に向けて推進すること」と「北朝鮮のミサイル問題を言及させたこと」の2点でしょう。また、欧州の掲げる難民問題に言及せずに首脳会議後の会見を終えたこともポジティブな要素です。

 EU が自由貿易協定に前向きであることを確認したことは日本経済にプラスであり、北朝鮮問題でも日本政府の立場を EU 側が理解することは国防の面でプラスとなるからです。

 懸念点となる可能性があった “人道” に基づく難民問題ですが、ドイツが選挙を抱えていることもあり、テーマから外れたことが実態だと言えるでしょう。下手に見解を述べると日本政府より、メルケル政権のダメージが大きくなり、政権にピリオドが打たれることになる恐れがあったためです。

 

 普遍的な価値を共有していますが、相手の価値観を一方的に受け入れる必要はどこにもありません。そのため、両者の価値観が一致する「自由貿易協定の枠組み作り」に注力する形になったのだと思われます。

 欧州企業にとっては日本市場を開拓する動機になりますので、EPA の大枠が作られることをポジティブに捉えることでしょう。EU の主要国首脳が EPA を好意的に捉えたことは良い兆候です。外交面で安倍政権が結果を残していることを否定することは難しいと言えるでしょう。

 “提案型の野党” であるなら、安倍政権を上回る政策を外交面でも用意する必要があるのは当然です。上回れないなら、外交面は安倍政権のスタンスを高く評価し、経済面での政策で上回るなどトータルでプラスとなることを示さなければなりません。それが政党として本来の役割と言えるのではないでしょうか。