韓国大統領戦、アン・チョルス氏の追い上げでムン・ジェイン氏の独走に待ったをかける

 ムン・ジェイン(文在寅)氏が大本命と見られていた韓国大統領選が混戦になりつつあると NHK が報じています。

画像:アン・チョルス氏の追い上げを報じたNHK

 野党『国民の党』を率いるアン・チョルス(安哲秀)氏が韓国 KBS の世論調査による支持率でムン・ジェイン氏を上回ったとのこと。左派政治家同士の争いはこれから本格化すると言えるでしょう。

 

 韓国の公共放送・KBSなどは、最新の世論調査を9日付けで発表し、それによりますと、すでに出そろっている5つの政党の公認候補で争った場合の支持率は、中道系の政党「国民の党」の元共同代表、アン・チョルス候補が36.8%、革新系の最大政党「共に民主党」の前代表、ムン・ジェイン候補が32.7%で、これまでリードを保ってきたムン氏を、アン氏が上回って初めてトップに立ちました。

 

 マスコミはアン・チョルス氏のことを “中道系の候補” として取り上げていますが、これには注意が必要です。

2014年3月 『民主党』とアン・チョルス氏が率いる『新政治連合』が合併し、『新政治民主連合』が発足
2015年2月 2014年の地方選と補選に敗れ、党勢が低迷したことで、ムン・ジェイン氏が『新政治民主連合』の代表に就任
2015年12月 4月の再補選で全敗したことで党内対立が激化し、アン・チョルス氏が離党し、『国民の党』を結成。
『新政治民主連合』は『共に民主党』に改名
2016年1月 ムン・ジェイン氏が『共に民主党』の代表を辞任

 アン・チョルス氏もムン・ジェイン氏も同じ『新政治民主連合』に所属していた過去があります。「ノ・ムヒョン前大統領の政策をどう評価するか」で周流派に属していたかの程度の違いであり、両者にそれほどの違いはないと見るべきでしょう。

 そうでなければ、2012年の大統領選挙で「パク・クネ氏に対抗するため、アン・チョルス氏が立候補を取り止め、ムン・ジェイン氏の支持に回る」ということは起きないからです。

 

 アン・チョルス氏が大きく追い上げに成功した理由は “保守派の受け皿” となる選挙戦術を展開したからでしょう。なぜなら、パク・クネ前大統領の弾劾により、保守派の投票先が消滅状態に陥ったためです。

表1:ムン候補とアン候補の主要政策の違い
ムン・ジェイン
(文在寅)
アン・チョルス
(安哲秀)
政党 共に民主党 国民の党
経済政策 ・反財閥
・公務員増
・大きな政府
・民間重視
・小さな政府寄り
慰安婦合意 再交渉/見直し
THAAD 撤回 パン・ギムンが外交特使として取り組む
北朝鮮政策 ・融和型
ケソン工業団地や金剛山観光の再開
米韓同盟に基づく制裁を主張

 両者ともに「政府と財閥の癒着」には否定的で、ムン・ジェイン氏の方が左翼的な方向性が色濃く出ています。1番の違いは THAAD の配備問題でアン・チョルス氏が国連事務総長を務めたパン・ギムン氏を抜擢すると宣言したことです。

 パン氏は保守系候補として大統領選に挑む予定でしたが、金銭スキャンダルで頓挫しました。その人物を「外交問題に限って、歩調を合わせる」とアン氏が宣言し、パン氏も受諾する意向を示したことで、保守系有権者の支持がアン氏に流れたと分析できそうです。

 

 ノ・ムヒョンの系譜であるムン・ジェイン氏が大統領となるのか。それとも、パン・ギムン氏を自陣に引き込み、中道左派へと移行し、イメージ戦略に成功したアン・チョルス氏が差し切るのか。

 韓国大統領選はこれから候補者による “根拠なしの公約合戦” が本格化することでしょう。

 具体性や実現可能性などを無視し、有権者にとって耳障りの良いポピュリズムに基づく公約が次から次へと出てくるはずです。その責任を日本政府に押し付けることは伝統芸となっていますので、まともに取り合うだけ時間の無駄であることを学習しなければなりません。

 

 誰が新しい大統領になったとしても、“反日政策を行う韓国” に先祖返りすることは決まっているのです。卑日・用日に基づく政策の割合が薄まり、反日の色合いが強くなるという前提で準備しておけば、十分だと言えるのではないでしょうか。