アメリカの1州だけで1000人以上の子供たちが性的虐待に遭っていた現実の問題に人権派は取り組むべきだ

 CNN によりますと、アメリカでカトリック教会に所属する神父が子供1000人以上に対する性的虐待を行っていたことが明らかになったとのことです。

 「ゲームや漫画・アニメ作品に登場する子供への性的表現」を規制する活動に熱心な界隈は『現実世界で起きている子供への性的虐待問題』には無関心なのでしょうか。世界全体では数万人以上の子供たちが被害に遭っている可能性があるのですから、対応を求める運動を活発化させるべきでしょう。

 

 米ペンシルベニア州のカトリック教会に属する歴代の神父300人以上について、子どもへの性的虐待を行っていた疑いが強いことが分かった。大陪審の報告で明らかになった被害者の数は、確実視されているものだけで1000人を超えるとみられている。

 今回の大陪審の報告は州内の6教区の内部文書に基づいてまとめられ、14日午後に公表された。聖職者による性的虐待について、1947年までさかのぼって調査している。記録が失われたり被害者が名乗り出なかったケースもあり、「実際の被害者は数千人単位に上るとみられる」という。

 ペンシルバニア州はアメリカ北東部に位置し、人口は約1300万人です。この地で少なくとも1000人以上の子供たちが歴代神父から性的虐待を受けていたのですから、3億人の人口を持つアメリカ全体では数万人前後の子供たちが被害に遭っている可能性があると言えるでしょう。

 これは現実世界で起きている問題であり、“人権派” は「知らぬ存ぜぬ」などという対応は認められないはずです。

 

「ペンシルバニア州だけの問題ではない」という現実

 カトリック教会の神父が児童虐待を起こしているのはアメリカ・ペンシルバニア州だけの問題ではありません。

 聖職者により卑劣な犯行はヨーロッパでも明るみに出ているのです。そのため、「人権活動に熱心な “欧米のリベラル” こそ、この問題を積極的に取り上げるべき」と言えるでしょう。

 しかし、自らが信仰する宗教に批判を向けることに消極的なのか、「ゲーム・漫画・アニメで子供たちが性的虐待を受けていることは問題」と非現実世界における表現を規制することに力を入れているのです。

 『表現の規制』に力を入れたところで、現実世界で実際に被害に遭った子供は救済されないのです。むしろ、加害者側であるカトリック教会の神父に逃げ得を許すという “負の遺産” を残すことになると自覚しなければなりません。

 

“神父” という「社会的な信用」に基づく立場の人物が犯行に及んでいた実態は重い

 キリスト教の聖職者による児童虐待問題が深刻なのは「社会的な信用を得やすい立場の人間が加害者である」という点でしょう。

 なぜなら、被害を訴える声は「あの(立派な肩書きを持つ)人がそのようなことをするはずがない」との先入観が無意識に働くからです。その結果、被害の声がかき消されることにもなり得る訳ですから、『深刻な問題』として取り組まなければならない問題なのです。

 キリスト教の価値観に基づく欧米社会全体を揺るがす大問題になることは確定的ですが、見て見ぬ振りをすることは論外です。

 欧米発の社会運動である #MeToo もある訳ですから、そのような界隈が資金面・運動面でサポートをするべきでしょう。少なくとも、「知らぬ存ぜぬ」の姿勢を維持し、『報じない自由』を行使して問題を矮小化することなどあってはならないことと言えるはずです。

 

 国連などの場で「子供たちの人権」について論じるのであれば、先進国で問題が次々に発覚している『キリスト教の聖職者による子供への性的虐待問題』に本腰を入れるべきでしょう。

 70年以上も前の “疑惑” に熱心になる暇があるなら、現在進行形で起きている問題の解決に注力しなければなりません。それをしないのであれば、『人道』という主張は単なる “まやかし” を言わざるを得ないのではないでしょうか。