ムン・ジェインの姿勢は「慰安婦合意に納得しない韓国世論に忖度し、自主的に追加措置を実施せよ」というものだ
慰安婦合意に対する検証結果を9日に発表した韓国政府ですが、翌10日にムン・ジェイン大統領自らが記者会見で「日本の追加対応に期待する」と述べたと NHK が伝えています。
韓国的には「合意事項の破棄・見直しを回避してやった」のだから、それに対する “見返り” を提示するのが当然だと言いたいのでしょう。韓国の国内問題で日本が汗をかく意味は全く存在しないという現実を見落としているため、話がかみ合わなくなっているのです。
慰安婦問題をめぐる日韓の合意について「政府間で条件と条件をやり取りして解決できる問題ではない」と述べ、合意は元慰安婦を排除したまま解決を試みたもので、誤ったものだったとする認識を示しました。
そのうえで「日本政府が真実を認めて心から謝罪すれば元慰安婦も日本を許すだろうし完全に解決するだろう。日本に対して真実と正義の原則にもとづいて解決するよう促す」と述べ、日本側のさらなる対応に期待を示しました。
「最終的かつ不可逆的に解決された」と合意事項を完全に覆す要求をしているのです。
日本政府は韓国側の要望に理解を示す必要はありませんし、意図的にゴールポストを動かそうとしているのです。韓国が合意事項を守っていないのですから、この状況で日本が追加措置を行うことは何のメリットを生み出さないことを学習しなければなりません。
1:「合意の破棄・再交渉を韓国からは言いにくいから、日本が自主的に追加措置をしろ」と要求する韓国政府
韓国政府(ムン・ジェイン政権)が慰安婦合意に対して示した見解は以下のとおりです。
- 慰安婦合意では問題を解決できていない
- 公式合意の存在は否定できない
- 再交渉は要求しない
- 日本は自ら問題を認め、努力することを望む
- 被害者の希望は「日本の自発的な真の謝罪」
- 日韓の未来志向の協力体制を採る
要するに、日本政府は自発的に韓国世論が問題視する点(=性奴隷として強制連行したこと)を認め、真の謝罪(=国家賠償)をすべきだと言っているのです。
ただ、国家間の合意が存在するため、合意の破棄や再交渉には言及したくない。だから、日本側が韓国世論に忖度し、自主的に追加措置を講じることで問題解決に向けて汗をかくべきというご都合主義の内容になっているのです。
2:「合意の履行を怠ること」は破棄と同じである
道徳的に日本より上位に位置するという認識が強い韓国では「合意を破棄・再交渉しないことで日本のメンツを立ててやった」と配慮をした思いがあるのでしょう。
しかし、韓国政府は「合意の履行を怠る」と宣言しており、これは合意と破棄したことと同じです。
国家間の合意事項を平気で破棄する国をいつまでも『被害者扱い』したり、『子供扱い』したりして甘やかすことは何のメリットも生まれません。良好な二国関係を構築したいのであれば、特別扱いをしない “対等な関係” が必要不可欠なのです。
それができない限り、面倒を見る側の国内世論に不満が蓄積することになるのです。親韓派のメディアこそ、韓国の狼藉は厳しく批判しなければなりません。甘やかすほど相手は図に乗る訳ですし、そのしわ寄せが国内で反感を招いているからです。
3:ムン・ジェインは「ツートラック外交は可能」と盲信
ムン・ジェイン大統領は「歴史問題で日本を糾弾し続けるが、経済分野では手を取り合っていこう」という立場を採っています。これは『ツートラック外交』と呼ばれるものですが、実現度は低いでしょう。
- 韓国
- 歴史問題で日本を批判:+
- 日本から経済分野での協力を得られる:+
- 日本
- 歴史問題で韓国から汚名を着せられる:ー
- 韓国に経済支援をする:ー
『ツートラック外交』は韓国にとってはメリットがありますが、日本側にはデメリットしかありません。
例えば、韓国が熱望する「通貨スワップ協定」は「日本が韓国通貨ウォンに安定感を与える」というものです。国家間の合意事項すら遵守しようとしない国に便宜を図り、日本側だけが損失を引き受けるという事態は割に合わないと言えるでしょう。
韓国に対して強気に出ないから、何度もなめられた態度を取られるのです。THAAD 問題で韓国に対して “怒り” を伝える政策を採った中国の姿勢を参考に、日本も必要な報復措置を採る必要があると言えるのではないでしょうか。