ムン・ジェイン政権にあるのは「対北朝鮮政策」と「前政権による積弊の清算」の2つのみ、対米・対日政策は存在しない

 徴用工裁判で新日鉄への賠償が韓国・大法院(= 日本の最高裁に相当)で確定してから1ヶ月が経過します。

 ところが、ムン・ジェイン政権は判決への対応を明言しておらず、事態が宙に浮いたままとなっています。対応は『反日的』ですが、『対日政策』を持っている訳ではありません。また、『対米政策』もないことが特徴と言えるでしょう。

 

ムン・ジェイン政権が持つ2つの政策

 左派系であるムン・ジェイン政権が持っている政策は次の2つです。

  1. 対北朝鮮政策:
    • 「民族の融和」が重要項目
      → 非核化は二の次
    • 北朝鮮の立場に理解を示し、援助を惜しみない
  2. “前政権による積弊” の清算:
    • イ・ミョンバク、パク・クネ両政権の実績を清算

 ムン・ジェイン政権が明確な政策を持っているのは『対北朝鮮』と『前政権による積弊の清算』の2つだけです。これらに該当しない分野の政策は持っていないのです。

 日本は『対北朝鮮』に対して、経済面・軍事面で大きな影響力を持つ国ではありません。そのため、韓国から軽視されているように見えるのです。

 

『対日政策』を持たないムン・ジェイン政権がなぜ『反日』に映るのか

 ムン・ジェイン政権は『対日政策』を持ち合わせていません。しかし、韓国政府の対応は「極めて反日的」と多くの日本人には映るはずです。このことに矛盾を感じると思いますが、そのことを説明することは可能です。

  1. ムン・ジェイン政権には「積弊の清算」という『明確な政策』が存在
  2. パク・クネ前政権における対日政策の実績
    • 徴用工裁判の判決を先延ばし
    • 慰安婦合意の締結
  3. 2で示された項目はムン・ジェイン政権にとっては “積弊” であり、清算の対象

 要するに、『積弊の清算』を理由にパク・クネ前大統領の対日政策をひっくり返したところ、日本政府から予想すらしていなかった猛反発を受けたというだけです。

 過去の政権が締結した条約や合意を「現在の民意」を理由に一方的に破ったのです。その外交姿勢は『反日』に映ることは当然ですし、反発が起きるのは当然のことです。「日本を重要視していない」だけでは済まないレベルの失態と言わざるを得ないでしょう。

 

「韓国政府は対米政策を持っている」という木村幹教授の主張は誤り

 ムン・ジェイン政権の無関心さは『対日政策』に限ったことではありません。なぜなら、『対米政策』も存在しないも同然だからです。

 韓国研究を行っている木村幹・神戸大教授は「ジャパン・パッシングが起きている」とツイートしていますが、この認識は間違いです。

画像:木村幹・神戸大教授のツイート

 対米政策があるなら、アメリカ政府を “逆なで” するような行為は自重します。これは警戒されると、目的に掲げる政策を実施することが難しくなるからです。

 ところが、ムン・ジェイン政権は「北朝鮮の船舶への瀬取り」、「南北の鉄道連結に向けた共同調査」、「イラン製原油を入手するための物々交換での合意」などをしているのです。

 「民族の融和」を訴える韓国左派の政策を後先考えずに実行しているだけで、周辺国や同盟国からの批判・反発はお構いなしの状態になっていることが実情と言えるでしょう。

 

 韓国の要求するツートラックは「韓国側だけがメリットを得るもの」であり、韓国を子供扱いすることが精神的な優位性を保ちたい左派勢力以外からは支持されないでしょう。日韓関係がフラットで精神的な距離が離れて困る日本人は少数派なのです。

 韓国に配慮する必要性はありませんし、中国の対韓政策に習って経済的な優遇措置を失効させて他のアジア圏の国々と同様の扱いにすることを徹底する必要があると言えるのではないでしょうか。