ムン・ジェイン政権の圧力に屈したキア自動車が非正規雇用をすべて正規雇用に転換も、韓国人の半数は「現政権になって景気は悪化」と回答

 韓国・中央日報によりますと、現代自動車グループを構成するキア自動車が社内の非正規雇用者を全員正規雇用に転換することになったとのことです。

 ムン・ジェイン政権からの圧力があり、それに屈した形になったと言えるでしょう。企業側の負担が増すことになり、経済は悪化することになります。その証拠に、韓国人の約半数が「現政権になって、景気が悪化した」と回答しています。

 この現実を賃上げを要請している界隈や実行しようとしている政治家は見ておく必要があります。

 

 起亜自動車が社内の非正規職全員を正規職に転換する。2019年までに社内1300人の派遣人員を正規職として採用するという。起亜自動車と金属労働組合起亜自動車労働組合(以下、労働組合)は20日、このような案に合意し、これを金属労働組合起亜車非正規職支会に通知した。

 (中略)

 現代自動車はすでに2012年から昨年まで約6000人の派遣人員を特別採用した。今後4年間に3500人の社内派遣人員を追加で特別採用する予定だ。今回、起亜車が正規職への転換に合意し、現代車グループは約1万1900人の現代車・起亜車社内の派遣人員全員を正規職として採用することになった。政府が仲裁したことで国内の自動車企業は人件費を追加で増やさなければいけない状況に直面した。今年、自動車4社の賃金交渉が異例に早く終わった点を勘案すると厳しい状況だ。

 

「自動車会社の正社員になる」という “コリアン・ドリーム” が実現

 韓国で「自動車会社の正社員になる」ことは明らかな成功例です。年収が1000万円近くになる上、“世界最強の労組” がありとあらゆる手法を駆使して高給を保証してくれるからです。

 一般職として最も優遇された職を手にしたのですから、まさに “コリアン・ドリーム” が実現したと言えるでしょう。

 しかし、これは労働者目線での話です。なぜなら、経営者側から見れば、「作業効率の極めて悪い正社員が増えただけ」だからです。当然、製造業は国外移転を進めることでしょう。

 韓国で製造することで大きなコストがかかるなら、人件費の安い国や大きな市場を持つ国で生産する方が合理的です。この傾向が強まることで、国内経済が失速し、景気の悪化が進んでいると感じる人が増える結果となるのです。

 

韓国人の約半数が「ムン・ジェイン政権になって景気が悪化した」と回答

 見落とすべきでないのは韓国人の約半数が「現政権になって、景気が悪化した」と回答していることでしょう。

 韓国国民の半分近くが、現政権になって経済状況が悪くなったと評価していることが明らかになった。

 (中略)

 「現政権になって経済状況がどうなったと感じているか」との質問に対し、「非常に悪くなった」が33.1%、「どちらかというと悪くなった」が16.3%だった。否定的な評価(49.4%)が肯定的評価(23.2%)の2倍を越えた。

 「ムン・ジェイン政権は厳しい数字を突きつけられた」と言えるでしょう。なぜなら、「景気が良くなった」と感じた人の数は「悪くなった」と回答した人の半分にも満たないものだったからです。

  • 現政権(=ムン・ジェイン政権)になって経済状況がどうなったと感じているか?
    • 肯定的評価:23.2%
    • 否定的評価:49.4%
      • 非常に悪くなった:33.1%
      • どちらかというと悪くなった:16.3%

 「非常に悪くなった」と回答した人の割合の方が「良くなった」と回答した総数の割合よりも大きいのです。ムン・ジェイン政権の経済政策が機能しているなら、このような結果は現れないでしょう。これでは経済政策は間違いであると指摘せざるを得ない状況なのです。

 

パク・クネ政権を下回る経済成長率になるリスク

 ムン・ジェイン政権のアキレス腱となる恐れがあるのは「経済問題」でしょう。政治問題は前任者の業績を転換すれば済みますが、経済問題は「数字による結果」が現れるため、政策を否定するだけでは不十分だからです。

 パク・クネ政権での成長率は4年平均で 2.97% でした。一方のムン・ジェイン政権は1年目で 3.09%。やや上回っています。

 しかし、OECD による今年の経済成長率見通しは 2.7% に下方修正された報じられています。また、来年の見通しも 3.0% から 2.8% に引き下げられており、パク・クネ政権下で記録した数値を2年連続で下回るとの予想が出ているのです。

 経済成長を促す政策をムン・ジェイン政権が持っていれば良いのですが、バラマキ型左翼政権であるムン・ジェイン大統領には打つ手がない状況と言えるでしょう。そのため、北朝鮮に近づくことで(一部の)支持層を繋ぎ止めることに腐心する行為が目につくことになっているのです。

 

 最低賃金を政府主導で強引に引き上げ、非正規雇用者を解雇できない正社員に無理やり切り替えると経済にどのような影響が出るのかを正確に認識しておかなければなりません。

 立憲民主党などの野党が目指す『理想の政策』はムン・ジェイン政権が韓国で “先行実験” をしてくれているのです。このことを踏まえた上で政策議論をしなければ、墓穴を掘る結果になるとの自覚を持つ必要があると言えるのではないでしょうか。