韓国・ムン大統領が熱望した南北統一チームに若者が怒る理由

 韓国のムン・ジェイン政権が支持層である若者から大きな不興を買っていると読売新聞が報じています。

 「韓国と北朝鮮がオリンピックで合同チームを作る」と政治決定したことが直接の原因なのですが、これを韓国政府が理解できていないように思われます。

 

 17日に南北が合意した合同チーム結成は、韓国代表の選手や監督に十分な説明を行わないまま文政権が政治判断で決定。五輪開幕直前に選手の出場機会を奪う形となり、政権の支持層である若者の不興を買った。韓国SBSテレビの調査では、20~30歳代の82%が合同チーム結成に否定的で、全世代平均を約10ポイント上回っている。

 

 ムン・ジェイン氏は「パク・クネ大統領の成果」を否定することで大統領選に勝利しました。

 つまり、パク・クネ政権と同じことをすれば、支持を失うことは当然です。今回、南北合同チームでムン・ジェイン政権がしたことは “パク・クネ大統領と同じ” と見られていることを自覚していないのですから、かなり致命的と言えるでしょう。

 

1:朝鮮日報に掲載された記事がすべて

 韓国の若者が怒る理由は1月18日付で朝鮮日報が報じた記事に集約されています。

 就職準備中のイ・ソンミンさん(24)=仮名=は「女子アイスホッケーの選手たちの状況は、まるで今の私と同じだ。一生懸命に努力してやっと面接でたどりついたのに、コネ入社が決まっている人と一緒に面接を受けろと言っているようなものではないか」と怒りをぶちまけた。

 要するに、韓国の若者は自分たちの状況と女子アイスホッケーの選手たちの状況を重ね合わせているのです。

  • コネで有利となる側
    • パク・クネ政権時:チェ・スンシル氏の娘
    • ムン・ジェイン政権時:北朝鮮の女子アイスホッケー選手
  • コネの影響で不利益を被る側
    • パク・クネ政権時:コネを持たない韓国若者
    • ムン・ジェイン政権時:韓国の女子アイスホッケー選手

 パク・クネ前大統領が失脚した理由は「チェ・スンシル氏に関係するスキャンダル」でした。これと同じ行為をムン・ジェイン大統領が行ったのです。若者たちが反感を覚えて当然と言えるでしょう。

 

2:「日本で韓国人の若者の雇用を」と主張するのにも理由がある

 韓国では “コネを持つ特権階級の学生” たちが極端にまで優遇されているのです。当然、はじき出される側の若者には不満が蓄積することになります。

 そのため、不満の矛先は自分たちに向いて欲しくない韓国の政治家は「そうした若者たちを日本で雇用すべき」と責任転嫁を図っていると言えるでしょう。

 日本の企業が採用で『韓国人枠』を設けるとなれば、その影響を被るのは就職希望者の多くは日本人になることが予想されます。そもそも、外国籍保有者であっても就労ビザを獲得できる能力があることを示せる人材は現在の採用基準でも日本企業で就職は可能です。

 その要件を満たさないにもかかわらず、韓国人という理由で採用に便宜を図る意味はないでしょう。「意に沿わない労働を強いられた」とゴネることは歴史が証明しており、配慮する理由はどこにも存在しないのです。

 

 ムン・ジェイン政権は「韓国に蔓延る悪弊を駆逐すること」を有権者が期待したことで誕生しましたが、皮肉なことに「従北政策を推進することで前大統領と同じことしているが明るみに出た」と言えるでしょう。

 左派とは言え、ムン・ジェイン氏を始めとする政権側の人間は国会議員だった訳であり、彼らは始めから『権力側の人間』だった訳です。裏切られたと印象を抱いた韓国人もいるでしょうが、高い支持率がありますので影響は限定的だと思われます。

 今後は韓国国内での批判を抑えるために日本を悪者にしてくることでしょう。日本政府は「韓国の国内事情など知らない」と突き放すことは重要だと言えるのではないでしょうか。