『奨学金金利3%』などとデマを述べる大学教授から学べば、“借金漬け”になるのは当然だ

 Yahoo のトップページに掲載されていた大学教授(社会学者)による記事に批判が集まっています。

画像:Yahoo!に掲載された千田教授の記事

 この『大学というブラックビジネス 人生のスタートから借金漬けになる学生たち』という千田有紀・武蔵大学社会学者教授が書いた記事なのですが、その内容が事実無根のデマと言うべき内容だったからです。

 

 批判を招く原因となったのは記事冒頭部にある次のような記述でした。

 体調を崩して大学を辞めたいという学生の奨学金の書類を見て驚いた。月々10万円、4年間で合計480万円を借りた結果、金利は3パーセントで、最終支払額が700万円を超えている。日本学生支援機構で借りた奨学金である。

 千田氏が例に出した学生は4年間で480万円を借りたとのことです。武蔵大学は経済/人文/社会の3学部であり、その授業料はホームページによりますと学費は年間102〜106万円の間です。

 この学生はおそらく学費を全額奨学金で賄っていたものと思われます。ネット上で批判の声が高まったのは「金利は3%」の部分です。

 

 金利3%というのは日本学生支援機構の第二種奨学金(利息がつくタイプ)の上限です。ホームページでも次のように紹介されています。

2.利息
年(365日あたり)3%を上限とする利息付です。なお、在学中は無利息です。

 では、日本学生支援機構第二種奨学金(利息がつくタイプ)を借りた場合、実際の利率はどれほどなのか。

 これもウェブ上で紹介されています。

画像:第二種奨学金の利率表(一部)

 最も利率の高い “増額部分” の利率固定ですら 1% を超えていません。基本月額を『利率見直し方式』で借りていれば、利率は 0.1% です。

 この千田有紀教授の書いた記事がどれだけいい加減なものであるかは、少しの調べる時間と調べ方を知っていれば、すぐに判明することでしょう。

 

 事実確認をするという基礎的な部分を疎かにし、千田教授は次のような文章を書いています。

 現在私が借りている住宅ローンは、変動金利とはいえ、金利が1パーセントを超えたことはない。住宅を購入するための金利をはるかに超える金利が、教育を受けるために課されている。驚くべきことではないか。もちろん成績優秀であれば、無利子で借りることも可能ではあるのだ。しかしそれだからこそ、有利子で借りる学生は「自分の力が及ばなかった」と自分を責めやすい。

 常識のある人がやらないロジックを語ることが社会学者の役割なのでしょうか。まず、住宅ローンと教育ローンと同列に語ってはいけません。

 返済が滞った場合、住宅は差し押さえることで現金化が可能です。しかし、教育ローンは借りた人を誰かに売ることは人身売買であり、キャッシュ化することはできません。(マグロ漁船に乗せられる話はフィクションです)

 つまり、奨学金は貸し手が損をする可能性が住宅ローンよりも高いのです。

 また、貸出用の資金にも限りがある訳ですから、きちんと返済する見込みの高い成績優秀な学生から貸し出されるのは当然です。

 

 この千田教授はネット上に批判が集まると、追記という形で「私が見た学生への請求書は白昼夢だったのでしょうか」とポエムのような言い訳を述べ、実際の利率という動かぬ証拠を突きつけられると「やはり奨学金というからには、無利子であることが望ましいという思いには変わりがありません」と論点を逸らしを始めました。

 サヨクの人は自らの過ちを認めると死ぬ病でも患っているのでしょうか。

 いい加減な教員から学ぶ価値のあるものは “反面教師” であることしか残されていません。『奨学金という名の学生ローン』であることを伝えられない教員や、そのことを理解できない学生が借金漬けになるのは当たり前だと言えるでしょう。

 そして、そのことに同情するほど世間一般はやさしくないことを教えることが社会学者としての責務なのではないでしょうか。