奨学金制度を叩く朝日新聞は「給付型奨学金制度を運用する自前の財団」を設立・運営すべきだ

 貧困問題にスポットを当て、“社会派路線” の紙面作りをしている朝日新聞が奨学金制度をバッシングするキャンペーンを展開しています。

 「弱者が食い物にされている」との印象を植え付けたいのでしょうが、事例として紹介されているケースはいずれも借りた側に著しい落ち度があったことは否めません。同情できる理由のない人物が借金で首が回らなくなるのは自己責任と言えるでしょう。

 

1:メディアに登場するのは「利息付の奨学金を借りていた学生」

 朝日新聞などが展開している『奨学金の返済滞納による破産問題』ですが、登場する人物には共通点があると言えるでしょう。それは「利息付で奨学金を総額〇〇万円借りた」というものです。

 日本学生支援機構の奨学金(貸与型)には以下の2種類が存在します。

  • 第一種奨学金(無利息)
  • 第二種奨学金(有利息)

 第一種奨学金は高校での成績が5段階評価で 3.5 以上が求められ、無利息の権利を保ち続けるには大学の3年間は上位の成績を維持することが不可欠です。利息付の第二種奨学金は「学業が修了できること(=卒業できること)」が条件であり、これが後に大きな差を生む要因となるのです。

 

 

2:“学業の修了が見込めるだけの人物” では就職戦線で「引く手数多」にはならないだろう

 多くの生徒が大学に進学する理由は「新卒として、良い就職先を見つけるため」というものでしょう。そのために奨学金制度は欠かせないことは明らかです。

 ですが、第二種奨学金を借りている場合は「就職戦線で苦戦する」という認識を持っておかなければなりません。

 例えば、「早慶上智で第二種奨学金を借りている生徒」は「MARCHで第一種奨学金を借りている学生」と就職戦線でしのぎを削ることになるでしょう。前者が大学入学時の学力で上回っていたことは明らかですが、在学中の成績が芳しくないと見なされると、後者が内定を勝ち取ることになります。

 つまり、大学を卒業しただけでは学費に見合うだけの給与を得られるチャンス自体が少なくなるという現実があることを理解しておく必要がありますし、偏差値が低い学校ではその傾向が強く現れるという厳しい現実を直視しておく必要があると言えるでしょう。

 

3:「重要事項の説明」を義務付けし、「保証機関による保証」を原則とするべき

 「奨学金の返済滞納による破産」は借りた本人が返済義務があることを理解していないことが大きな要因でしょう。滞納者の多くが「督促を受けて気づいた」という状況にあることが報告されているからです。

  1. 「返す必要はない」と思っていた
    → 返済義務があるなどの重要事項は事前に説明する
  2. 返済の優先度が低かった
    → 保証機関経由にすれば返済への甘えが消える

 この2項目で「奨学金の返済滞納による破産」は件数を大きく減らすでしょう。また、それでも残ることになる「奨学金の返済滞納による破産」は同情の余地があるケースが目立つことになると考えられます。

 ただ、現状でも救済措置は用意されていますので、同情の余地が残るケースは例外中の例外になると言えるでしょう。

 

4:現行の奨学金制度を批判する朝日新聞が自ら奨学金財団を設立・運営すべきだ

 朝日新聞は『現行の奨学金制度』を潰そうとする勢いでバッシングキャンペーンを展開しています。現行制度がダメと主張するなら、自前で奨学金制度を運営する財団を設立すべきです。

 貸与型に批判的なのですから、給付型奨学金制度のみを運営する『朝日新聞・奨学金財団(仮)』を設立し、実績を残してくれることでしょう。

 「できない」という選択肢は朝日新聞にはありません。国有地を安く払い下げられたことで得た不動産部門で多くの収益を出している訳ですから、それを原資にした上で国民に給付型奨学金という形で還元する責務があるからです。

 自前の給付型奨学金制度を運営する財団すら設立せず、自業自得と言うべき無責任な人物にスポットを当てた奨学金批判は極めて無責任な言論と言えるのではないでしょうか。