需要が供給を上回れば、価格の上昇は当たり前 それができないから保育所問題が発生する

 「東京一極集中」は問題視される必要があるテーマなのですが、それによって引き起こされた問題でもある保育所問題についてコメントした自民党議員の発言を一部が問題視する姿勢を見せています。

 時事通信によりますと、次のような発言があったとのことです。

 

 待機児童対策に関し、務台俊介衆院議員(長野2区)は「保育所に落ちた話もあるが、全部便利にすると、ますます東京に来て子育てしようと(なる)。東京に行くとコストがかかって不便だというふうにしないと駄目だ」と発言。

 

 これは当然の発言でしょう。現在の日本は「東京一極集中」がある意味、問題となっているからです。

 東京は政治・経済の中心なのですから、働き口もそれに応じて大きくなります。つまり、それだけ地方から人を呼び寄せる巨大な力を持っていることを意味します。

 そのため、東京では「保育所の需要が供給力を上回る」事態が発生しているのです。このことについては誰もが認めることでしょう。

 

 では、「需要が供給を上回るとどうなるか」を考えてみる必要があります。

 一般的には価格が上昇するでしょう。その典型例はバブル期の地価(土地の価格)です。当時、“土地を買いたいという需要” は非常に多く、“供給分” を上回っていました。それが加熱しすぎたことで、バブルを呼び起こしたのです。

 ただ、保育所問題とは決定的に違う点があります。それは「保育所の価格が上昇しないこと」です。

 保育所に入りたいという需要は現時点でも高いのですが、入所希望者のコストが変わらないまま供給だけが増えれば、東京一極集中はますます進行するでしょう。これは『平成の東京バブル』を作ろうとしていることと同義であり、国が予算を組んですべきことではありません。

 東京は地方と比べると高賃金を得やすいというメリットがある反面、地価・家賃・生活費などが高コストというデメリットもあります。

 必然的に行政コストも高くなるはずなのですが、「保育費は全国一律にせよ」とゴネるほど、人は東京へと流れ込んで来るでしょう。なぜなら、保育によって得られるリターンが利用者には大きいからです。

 

 『地方より高額な賃金を得て、地方と同じ費用で保育所に入れる地域』があるなら、魅力的だと思いませんか?

 その可能性を持っているのが東京なのです。

 需要と供給のバランスによって価格が決まる市場経済下では、自由になる金額には地域差はそれほど大きくならないでしょう。ですが、保育所問題は社会主義的な割り当て方式が根底にあるため、需要と供給によって価格変動は起きず、弾き出される人が存在することになるのです。

画像:駒崎弘樹氏のツイート

 東京一極集中を問題視せず、むしろ「東京が衰退する方が日本にとってマイナス」と主張する社会起業家の方もいるようですが、これは単なるポジショントークでしょう。

 なぜなら、彼は東京で保育ビジネスを営む起業家としての顔を持っている訳です。要するに、東京一極集中を問題視する人々は彼のビジネスシェアを落とそうとするライバルだからです。

 補助金を得て保育ビジネスに携わっている駒崎弘樹氏のような方は保育所問題に関するコメントは我田引水と見られる可能性が高いため、発言内容そのものを注意する必要があると言えるでしょう。