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「東京五輪2020で不正招致が確定すれば、ロンドンが代替地」というタブロイド紙の主張を鵜呑みにしてどうすんのよ?

 イギリスのタブロイド紙『デイリー・メール』が報じた「不正招致が確定すれば、2020年のオリンピックはロンドン」という記事を一部のネットメディアが伝えています。

 しかし、現実にロンドンで代替開催を行うには障害が立ちふさがっていることを都合よく見落とし過ぎているのです。

 

 デイリー・メールが報じた記事の概要は次のようなものでした。

  • フランスの検察が2件の支払いについての捜査を開始
  • 支払い人の銀行口座はJOC
  • 東京が開催権を剥奪されると、ロンドンが代替開催地

 

 記事で最も注目すべきは「ロンドンが代替地」と言及されていることなのですが、誰が言ったのかをチェックする必要があります。

 日本のネットメディアでは関係者が述べたような書き方をしていますが、デイリー・メールにはトルコ五輪委員会のヤルチュン・アクソイ(Yalcin Aksoy)副事務総長による発言だと明記されています。

 「支払いが事実だった場合、代替を行うことができる唯一の都市はロンドンだ。私はそういったことにならないよう望んでいる」とデイリー・メールに語っているのです。

 

 確かに、ロンドンのオリンピックを代替開催する能力は他の都市と比べて高いでしょう。この点ではヤルチュン・アクソイ氏の指摘も間違いとは言えません。

 ただし、IOCの決定事項のように伝えるのは謝りです。なぜなら、2012年にオリンピックが行われた当時とは競技場の環境が変わっているからです。

 例えば、メイン会場となったオリンピック・スタジアムは 80000 席だった座席数が 60000 席にまで減少し、サッカー・プレミアリーグのウエストハム・ユナイテッドが8月7日にユベントスを迎えてこけら落としの一戦を行う予定となっています。

 また、バスケットボール・アリーナやウォーター・ポロ・アリーナなど撤去済みの仮設競技場を再建設する必要があり、その場合の出費をどうするのかを検討しなければなりません。

 

 東京と2020年の開催地を争ったイスタンブールをプッシュしていた立場にあったヤルチュン・アクソイ氏がロンドンを推薦する理由があるでしょうか。

 少なくとも、難民問題でEUからの支援金を得ているのですから、資金不足に陥ることはありません。また、リオ五輪に “難民代表” が参加しますし、ヨーロッパに難民問題への対応をアピールする点においても「不正招致は存在しなかったことと思っているが、もし東京の開催権が剥奪されるのであれば、イスタンブールで行うことが望ましい」と主張するはずです。

 IOCが求める座席数を持たないメイン会場でオリンピックを行うのであれば、「8万人にこだわる必要はない」と事実上認めることになります。

 オリンピックでの収益を求めるIOCが自らの拡大方針を変換するとは考え難いものがあることが実情なのです。

 

 FIFAが腐敗し切っていたようにIOCが同様に腐敗していたとしても何の不思議ではありません。また、ロンドン五輪で生じた陸上競技でのドーピング問題への対応に本腰を入れる必要があることも事実です。

 IOCやIAAFなど主催者そのものが腐敗している可能性が示唆されているのですから、どこが開催地になったとしても同じ問題が浮上することになるでしょう。外部から見えない状態で決め続ける限り、不正の温床がなくなることはありません。

 改善すべきはオークション形式にするなど、見える形で決定するなど抜本的なプロセスの見直しが必要になっているのではないでしょうか。