MLB ロンドン・シリーズ、試合会場の様子がお披露目される

 6月29日と30日にイギリス・ロンドンで行われる MLB 公式戦を前に試合会場であるロンドン・スタジアムの様子を『イブニング・スタンダード』が報じています。

 オリンピックのメインスタジアムで野球の公式戦を開催できるのであれば、新国立競技場の利用用途も広がるはずです。レッドソックスとヤンキースによるロンドン・シリーズの状況を注視する価値は大いにあると言えるでしょう。

 

普段はウエストハム・ユナイテッドがサッカー用途で利用している

 ロンドン・オリンピックのメイン会場となった『ロンドン・スタジアム』ですが、普段はイングランド・プレミアリーグに所属するウェストハムがホームとして利用しています。

画像:ロンドン・スタジアム(サッカー利用時)

 ただ、陸上トラックが残っていることが「サッカー観戦」を行う上で大きなネックになっています。

 ウエストハムはクラブカラーのえんじ色で覆っていますが、芝生と同系色の人工芝で陸上トラックを隠して “心理的な遠さ” を緩和したとしても、選手を遠く感じることは避けられないと言わざるを得ないでしょう。

 

野球場バージョンのロンドン・スタジアム

 現地6月29日と30日に行われる MLB ロンドン・シリーズで利用されるロンドン・スタジアムの様子が以下のものです。

画像:ロンドン・スタジアム(野球利用時)

 ホームスタンドが「バックネット裏」となり、バックスタンドがセンター奥という配置です。『ニューヨーク・ポスト』によりますと、両翼 100m でセンターまでは 117m。約 5m のフェンスが設けられるとは言え、「少し狭い球場」と言えるでしょう。

 また、特筆事項は人工芝(フィールドターフ)が敷設されているという点です。

画像:人工芝を敷設する作業員

 天然芝ではなく、盛り土をした上に人工芝を敷いてフィールドを作ったのです。これで MLB の規格を満たしているのですから、日本のプロ野球界も参考にする価値はあるはずです。

 

新国立競技場が維持管理費の捻出に苦しむなら、巨人軍に使用させることで予算の確保を検討すべきだ

 日本では「陸上競技場で野球をする」と言うと笑われるでしょうが、近い将来は現実に起きる可能性はあります。なぜなら、新国立競技場が “中途半端な立ち位置” になっているからです。

 陸上競技場が維持費を捻出できないのは自明です。また、国際大会を誘致するために「サブトラックの常設化」を要求していますが、都内には新国立競技場以外にも条件を満たす競技場があるため、陸連に便宜を図る必要はありません。

 サッカーの代表戦で収益を出す目論見を立てている報道もありますが、 “ピッチまでの距離が遠いスタジアム” をメイン球場に据える考えはないでしょう。そのような事態になると、修繕費すら自前で確保することが困難になる恐れがあるのです。

 万が一、そのような事態になってしまった場合は巨人軍にスタジアムを使わせて維持費を捻出することを真剣に検討すべきです。集客力のある人気球団ですし、東京ドームの耐用年数が限界に近づいていることを踏まえると、利用する可能性はゼロではないからです。

 「ロンドン・スタジアムでのメジャーリーグ開催」が成功すれば、「新国立競技場でのプロ野球開催」を成功させるための参考例になるはずです。そうした視点を持つ意味ありますし、打診を考えておく必要もあると言えるのではないでしょうか。