立憲民主党、企業の生産性を悪化させる方針を掲げながら「賃金を上げれば消費は拡大する」と的外れな経済政策を掲げる

 NHK によりますと、立憲民主党が「最低賃金の引き上げなどで家計消費の回復に繋げる」との経済政策を発表したとのことです。

 「賃金および所得アップ」と「成長力強化」の2つが政策の柱となっていますが、生産性を悪化させる内容の政策が散見される状態です。財政出動に要する予算が不足していることは明らかなのですから、無責任な内容の政策と言わざるを得ないでしょう。

 

 立憲民主党が発表した経済政策では、安倍政権の経済政策=アベノミクスについて、「物価は上昇したものの、実質賃金は低下し、家計の消費力が低下している」と指摘しています。

 そのうえで、賃金や可処分所得を増やすことで、家計消費の回復につなげていくとして、最低賃金を5年以内に1300円に引き上げることを目指すほか、学校給食の無償化や家賃補助の制度を導入するなどとしています。

 枝野代表は記者会見で、「賃金や所得をアップさせ、消費を拡大させていく流れを作っていかないかぎり、経済の安定的な成長は実現できない。『まずは、上げるべきは賃金だ』ということを明確に打ち出した」と述べました。

 

目標を実現するための「政策内容」ではない

 立憲民主党が発表した政策の骨子は以下のものです。

  • 賃金・所得増を目的
    • 事業所得を増加させ、賃金アップと設備投資を誘発
    • 公正な税制改革であらゆる人々の「健康で文化的な最低限度の生活」の所得を確保
  • 成長力の強化が目的
    • 想像力のある働き手と企業を増やし、賃金と成長の源泉となる労働生産性を向上
    • 原発ゼロ
    • 人口減少時代に適応した都市・インフラ・資産を形成

 立憲民主党の目標は「着実な成長を実現する」というものでしょう。しかし、掲げた政策の内容では「掲げた目標を達成することはできない」と言わざるを得ません。

 なぜなら、経済成長を実現するどころか阻害する恐れの強いものだからです。

 

「賃上げ」と「原発ゼロ」は事業所得を悪化させる大きな要因

 立憲民主党の政策で致命的なのは「企業の生産性を悪化させる政策が散見されること」でしょう。その代表例は「賃上げ」と「原発ゼロ」です。

 事業所得を増加させるには「売上高をアップし、人件費や電気代などのコストを削減させること」が理想です。

 しかし、立憲民主党の政策は真逆です。賃上げによって人件費は増えますし、原発ゼロをすれば電気代が上昇するのは目に見えています。値上げ分は物価に転嫁されるのですから、状況が変わる見込みは少ないと言わざるを得ないでしょう。

 中でも原発ゼロは雑すぎます。「新しいエネルギー産業の創出は経済成長の軸になる可能性を秘めている」と述べていますが、何を使って実現するのかに対する言及はありません。

 再生可能エネのような「不安定で高額な電気代が請求されている現状」を維持する政策を容認している時点で、“家計の消費力” が回復することは見込めません。逆に悪化する可能性の方が高いのですから、「政策の内容と目標が合致していない」となるのです。

 

「年金など社会保障費の負担」が現役世代の消費活動に対する重荷となっている認識が欠落している

 また、働き現役世代の税負担が重い状況を改善しようとしないことも問題です。

 「子育て支援」や「家賃補助」などの支援策を打ち出していますが、原資は働く人々が納めた税金です。つまり、政府が支援策を打ち出すほど、個々の家計が苦しくなって消費活動が落ち込むというジレンマがあるのです。

 これを是正するのは「現状の予算支出で大き過ぎる部分をカットする」という選択肢を採らなければなりません。しかし、それは年金などの社会保障費であり、票が欲しい政治家や読者を失いたくない新聞社は提言すらしないでしょう。

 その結果、経済情勢の失速・衰退に歯止めをかけることができない状況となっているのです。

 

 野党第1党の地位に留まるのであれば、自らが掲げた政策を実現させる責務は問われません。それにより、予算を無視した内容や “キレイゴト” を無責任に訴える傾向が強くなるのです。

 こうした姿勢を支持するのは「給付金をアテにしている世帯」が中心になるでしょう。高齢者や貧困層への支援を強化するには「中間層の負担増加」が不可避であり、家計が今よりも苦しくなるのは明らかです。

 立憲民主党の経済政策は掲げた目標とは真逆の結果となると言わざるを得ないのではないでしょうか。