『失敗の総括』や『改善行動』をしない “失敗の当事者” に再チャンスを与えることは時期尚早である

 TBS によりますと、立憲民主党の枝野幸男代表が11月4日に早稲田大学で行われた講演で「民主党政権で失敗した当事者ともう1度政権交代をする」との考えを示したとのことです。

画像:政権交代に意欲を示した立憲民主党・枝野代表

 しかし、この主張は論外と言えるでしょう。なぜなら、「民主党政権時代の失敗に対する総括」はされておらず、「同じ失敗を繰り返さないための改善行動」も起こされていないからです。

 “再チャンス” を与えるには明らかに時期尚早と言わざるを得ないでしょう。

 

 立憲民主党の枝野代表は、都内の講演で「民主党政権時代に失敗した当事者と、もう1回政権交代をする」との考えを示しました。

 「あのとき、失敗の当事者意識をもっている人間が現役で最前線でやっている間に、もう1回政権交代をする。そして今度は、少なくとも政権運営という意味では成功させる。その責任が私はあると思っています」(立憲民主党・枝野幸男代表)

 枝野氏は講演で「民主党政権時代の顔ぶれじゃないほうがいいという人もいるが、当時の政権中枢部などの当事者でもう1回政権交代をしないと同じ失敗を繰り返す」と強調しました。

 「民主党政権は失敗」と政権の中枢を担った当事者が認めたことは1歩前進したと言えるでしょう。

 しかし、明らかに不十分です。なぜなら、「なぜ、失敗したのか」という分析や総括を行っておらず、同じ失敗を回避するための対策も機能していないからです。これでは失敗を繰り返すことは目に見えていると言わざるを得ないからです。

 

“失敗の当事者” である『立憲民主党の幹部』は「民主党政権時代の失敗の原因」をどう分析しているのか

 失敗をした人物であっても、再チャンスは与えられるべきでしょう。しかし、そのためには「同じ失敗を繰り返さないことを保証する」という “条件” が設けられていなければなりません。

 なぜなら、失敗で生じたマイナス分は後任者が挽回する責務を負うことになるからです。

 民主党政権の『負の遺産』は安倍政権がある程度は解消しましたが、完全には払拭されていません。そのため、過去の失敗を繰り返す恐れがある “失敗の当事者” に再チャンスを与えること自体がナンセンスなことなのです。

 まずは枝野氏を始めとする立憲民主党の幹部が「民主党政権時代の失敗の原因」を分析し、その理由を公表することでしょう。その上で、対策を講じて信頼回復に務めることが『王道』と言えるでしょう。

 

谷垣禎一氏のように「自分たちの失敗を総括できる政治家」が必須

 その『王道』を歩めば、政権交代を実現することは可能です。自民党が下野した際に総裁を務めた谷垣禎一氏が実際に「総括」を行ったのですから、それができる政治家は存在しているのです。

 ただ、有権者や支持者からの厳しい声を真摯に受け止め、党が目指すべき道を決めた上で歩み出すことは大変なことです。とは言え、政権運営よりもマシなのですから、その覚悟があるかが問われていると言えるでしょう。

 しかし、立憲民主党の現状を見ると、「世間の厳しい声から逃げ続けている」ことと同じです。もし、民主党政権時代の失敗を直視しているなら、『民主党』の看板を捨てるような真似はしないでしょう。

 実際は「民主党 → 民進党 → 小池百合子氏が率いる『希望の党』への合流を画策 →(排除)→ 立憲民主党」との流れがあるのです。「口先ではなく、態度で示すまでは耳を傾ける必要すらない」と言えるでしょう。

 

国会で「政策論議」ではなく、「クイズ大会」や「揚げ足取り」とやっている時点で話にならない

 もし、立憲民主党が「民主党政権で失敗した当事者たちで政権交代をする」という目標を本気で掲げているなら、国会論戦での態度を改めなければなりません。

 なぜなら、国会は「政策論議」を行う場であり、安倍政権の政策には問題点も多数あるからです。そのため、「安倍政権より優れた政策」を立案する能力を有していると示すことができれば、自然と支持率を高めることになるのです。

 しかし、今の立憲民主党がやっていることは「難癖を付けているだけ」です。「クイズ大会」や「揚げ足取り」は “ワイドショー受け” をするでしょう。

 ただ、忘れてはならないのは「絶対数の多い社会人や学生はワイドショーが放送されている時間帯は就労・就学をしている」ということです。彼らの多くはネットで1次情報を確認する術を有しており、既存メディアが “忖度報道” への耐性を有しています。

 ゴールデンウィーク18連休を取得するような政党が「失敗した当事者たちで政権交代をする」と宣言しただけでは反感を招くだけでしょう。立憲民主党は「無責任な輩は嫌われる」という現実を直視し、「自らが掲げた政策がなぜ失敗してしまったのか」を発表すべきと言えるのではないでしょうか。