立憲民主党・枝野代表、民主党政権下での厚労省による不適切な統計処理問題は不問とする一方で政権批判の意向は表明

 NHK によりますと、厚労省が『毎月勤労統計調査』を行う際に不適切な手法を用いていた問題で立憲民主党の枝野幸男代表が「民主党政権では疑うような状況になかった」との認識を示したとのことです。

 この認識は詭弁と言わざるを得ないでしょう。なぜなら、不正は民主党政権下でも行われていたからです。民主党政権時の閣僚は不問とする一方で、現政権だけが批判の対象として扱われるのは不公平だからです。

 

 厚生労働省が、賃金や労働時間に関する「毎月勤労統計調査」を不適切な手法で行っていた問題では、一部の職員は不適切だと分かっていたにもかかわらず、組織全体で共有せず、放置していたことが明らかになっています。

 (中略)

 枝野氏は、不適切な手法による調査が、みずからも官房長官を務めた民主党政権でも行われていたことについて、「私が承知しているかぎりは、厚生労働省で当時仕事をした仲間はいずれも実態を全く伝えられておらず、疑うような状況も無かったと承知している」と述べました。

 与党・閣僚経験者として、この発言は良いものとは言えません。あまりに無責任なものだからです。

 当事者意識がない上、自分たちのことを棚に上げて政権批判に利用しようとしているのです。これでは野党への支持が広がらないことは当然と言わざるを得ないでしょう。

 

「民主党政権下でも厚労省は不適切な手法を用いた統計調査を行っていた」との事実は重い

 まず、厚生労働省で発覚した「不適切な手法による調査」ですが、第二次安倍政権だけで行われていたものではありません。安倍政権が官僚に命じたものではなく、民主党政権時代にも行われていた問題です。

 つまり、「問題が発覚しただけ」なのですから、この問題で政権批判を展開することは悪手となります。

 なぜなら、一部の職員は不適切と分かっていたものの、組織全体への共有はなく、放置していたからです。枝野代表は「実態が伝えられていなかった」ことを理由に、民主党政権の責任はないと主張しています。

 安倍政権の現役閣僚も「実態が伝えられずに放置されていた」のですから、民主党政権(当時)と立場は同じです。にも関わらず、枝野代表は『国会審議』で政権批判をする意向を示しているのです。自らの責任を棚に上げて批判を行う姿勢は論外と言わざるを得ないでしょう。

 

『官僚機構』が起こした問題で「閣僚の批判」を展開する野党の絶望的なセンスのなさ

 おそらく、立憲民主党などの野党は『厚労省による不適切な手法を用いた統計調査問題』を通常国会で重点的に取り上げるでしょう。

 ただ、批判の対象が「不正を続けて来た厚労省」ではなく、「厚労相」になることが考えられます。政権批判を行うことで支持者にアピールを続けて来た野党の姿勢が今年も継続されると予想できるからです。

 しかし、この問題は与野党が『不適切な手法による統計』を出された立場なのです。

 「問題がある手法なのでは?」と職員が疑問に思った際に、通報できる機関が存在することが再発防止策でしょう。職員には疑問に思った手法がある場合は通報することを義務づけ、手法の是非は『通報を受けた機関』が判断すれば良いとなるからです。

 責任の所在を明確にするという意味でも、このような再発防止策の中で「どの対応策が最も効果的か」を国会で論じるべきなのです。安倍政権批判ばかりに固執した対応をするから、有権者への支持が広がりを見せていないことを認識する必要があると言えるでしょう。

 

「韓国海軍による火器管制レーダー照射問題」から目をそらすという意味でも、立憲民主党は『厚労省による不適切な手法を用いた統計調査問題』で騒ぐだろう

 昨年末に韓国海軍の駆逐艦が自衛隊の哨戒機に火器管制レーダーを照射するという問題が発生しましたが、立憲民主党などの野党は沈黙を続けています。『国防案件』に対する政党の立場を表明しないことは「異様」と言わざるを得ません。

 ネット上では指摘されていることですが、大手メディアが「高いプライオリティー」を置いて報じている政治的案件から距離を取る姿勢は理解できるものではないでしょう。

 沈黙を続けるほど、立憲民主党への対応に対する批判は強くなる一方でしょう。そうした批判を避けるために、『火器管制レーダー照射問題』ではなく『厚労省による不適切な手法を用いた統計調査問題』で大騒ぎすることは十分に考えられることです。

 経済活動を行う上で大前提となる『国防』に対する意識があまりに軽薄すぎる立憲民主党の姿勢は厳しい批判にさらされるべきだと言えるのではないでしょうか。