日本サッカー協会はJリーグで外国人 GK が自由に起用できる弊害が代表の GK に波及している現状に目を向けなければならない

 アジアカップ 2019 が UAE で開催されていますが、日本代表の GK を務める権田修一選手(サガン鳥栖)の内容が2試合連続で芳しくありません。

 W杯で上位進出を本気で狙うなら、得点に直結するポジションに “穴” があることは問題と言えるでしょう。原因の1つは「Jリーグで外国人 GK を自由に起用できる」ことなのですから、日本サッカー協会が是正を図るべき問題と言えるはずです。

 

Jリーグで(主に韓国人の)外国人 GK が目立つ理由

 日本代表の GK で期待されているのは23歳の中村航輔選手(柏レイソル)でしょう。アジアカップのメンバーに選出されるだけの実力を有していますが、2018年に2度の脳震盪でシーズンをほぼ棒に振る結果となってしまいました。

 ただ、中村選手の他に “日本人 GK の有望株” が育っているとは言えない状況がJリーグで起きています。その理由として、以下の理由があると言えるでしょう。

  • GK は経験値が重要視されるため、若手有望株選手がチャンスを得にくい
  • 韓国・Kリーグでは外国人 GK の登録は不可
  • 給与水準が高いJリーグは韓国人 GK にとって魅力がある
  • 『アジア枠』の関係で韓国人 GK は以前から使いやすかった

 要するに、ヨーロッパのトップリーグには移籍できないものの、韓国代表の正 GK を張れる実力者をJリーグのクラブが獲得できる状況にあるのです。これでは若手有望株の日本人 GK がポジションを得ることは容易ではないと言わざるを得ません。

 この状況を是正する責任は日本サッカー協会にある訳ですから、「現状を黙認することは大きな問題である」と認識しなければならないはずです。

 

外国人選手の登録枠を『5』から『無制限』に舵を切ったJリーグ

 ところが、Jリーグは2019年シーズンから外国人選手の登録枠を『5』から『無制限』に変更する決断を下しています。ただ、「日本人選手の出場機会が減る」との反発の声に配慮する形で、“出場およびベンチ入り” の枠は『5』に留められている状況です。

  • J1登録枠:
    • 25選手(ACL に出場するチームは27選手)
    • 外国籍選手の登録は『無制限』
    • 日本人選手がホームグロウンルールの対象
  • J1の出場およびベンチ入り:
    • 外国籍選手は『5』まで
    • チャンピオンズリーグでのベンチ入り枠は『7』

 ヨーロッパで行われている UEFA チャンピオンズリーグでは「事前に登録された25選手から各試合ごとに18名の出場およびベンチ入りメンバーを選出する」という規則です。おそらく、Jリーグもこれを参考にルール作りをしたのでしょう。

 ただ、このルールだと日本人 GK の育成に寄与していない現状を変えることはできません。また、外国籍選手に科されている “出場およびベンチ入り” の上限枠もいずれ撤廃される可能性があるため、日本人 GK 問題は深刻化する恐れがあると言えるでしょう。

 

「外国籍 GK を登録した場合、クラブの選手登録枠を減らす」と規則を変更すべきだ

 GK は特殊なポジションで、負傷や退場がない限りは選手交代の対象にはなりません。そのため、Jリーグで多くのクラブが外国籍 GK を重宝していることは日本代表にとって由々しき問題なのです。

 解決策として有効なのは「外国籍 GK を登録することの弊害をJリーグのクラブに負わせること」でしょう。具体的には「選手登録枠の上限を減らす」というものです。

  • J1登録枠(案):
    • 25選手(ACL 特例の撤廃)
      • 外国籍 GK を1選手登録した場合、登録枠の上限は『20』
      • 2選手登録した場合は『18』
    • 外国籍選手の登録は『無制限』(変更なし)
    • 日本人選手がホームグロウンルールの対象(変更なし)
  • J1の出場およびベンチ入り:
    • 外国籍選手は『5』まで(変更なし)

 「外国籍 GK を使いたい」というJリーグのクラブに配慮する形で、起用可能な方法は残しておくべきです。ただし、日本人 GK が起用されない弊害は日本代表が直接的に被るのですから、Jリーグのクラブは「登録枠の返上」という形で “痛み” を背負ってもらう必要があります。

 「登録枠を減らすという代償を負ってでも登録・起用したい」とクラブが考える GK はJリーグのレベルを大きく引き上げてくれる選手でしょう。もし、このルール変更で獲得や登録に難色が示されるなら、その程度の選手だったと言うことです。

 

 W杯で『日本のサッカー』を世界に知らしめることを本気で考えているなら、日本サッカー協会はJリーグの GK 問題に目を向け、対策を講じる必要があると言えるのではないでしょうか。