朝日新聞、「与党は厚労省の統計不正問題が発覚した時の政策統括官を “人身御供” せよ」と社説で主張する
朝日新聞が2月5日付の社説で「厚労省の統計調査不正の解明に向けた政権与党の本気度が疑われる」と主張しています。
その根拠が「問題が発覚した時点での政策統括官の参考人招致を拒否した」というものですが、これは問題解決をする気がないと主張していることと同じです。なぜなら、前政策統括官を “スケープゴート” にして、吊るし上げを行うことで政権批判をすることが見え見えだからです。
“問題が発生した時点での政策統括官” ならまだしも、“問題発覚時の政策統括官” の招致を要求している時点で下心が見えていると言わざるを得ないでしょう。
国会の予算委員会の論戦が始まった。最大の焦点は統計不正である。しかし、与党は、厚労省の大西康之・前政策統括官(局長級)ら、野党が求める関係者の参考人招致を拒否した。
大西氏は昨年末に部下から不正調査の事実を知らされ、根本厚労相に報告した。厚労省の初動対応のカギを握る人物だ。
しかし、別の統計におけるルール違反の報告漏れを理由に、先週末に根本氏に更迭された。これを受け、与党は現職の担当者でないことを理由に、国会招致に応じなかった。
政策について責任をもって説明するなら現職である必要もあろうが、目的は過去の経緯をつまびらかにすることである。
“不正の事実を知り、上に報告した官僚” が矢面に立たされる必要はない
与党の対応は妥当なものでしょう。なぜなら、厚労省の統計調査における不正行為は大西康之・前政策統括官が就任する前から行われていたことだからです。
大西氏の参考人招致を認めると、「不正の首謀者」としてスケープゴートにされることは確実です。野党やマスコミは様々な “言いがかり” を付け、吊るし上げを行うことが予想されます。
「不正行為を始めた官僚」や「黙認したり、気づかなかった官僚」は何ら処分を受けていない中で、「不正の事実を報告した閣僚」の参考人招致を野党は要求しているのです。しかも、朝日新聞は社説で「与党は参考人招致要求に応じるべき」と主張しているのです。
参考人招致の対象とすべきは「統計の不正が始まった時の官僚」です。世論調査という『統計』に日頃から接しているはずのマスコミこそ、問題を解決する気がないと言えるでしょう
「朝日新聞の世論調査で15年来の統計不正が発覚した場合、不正を報告した現役幹部を人身御供するのか」ということ
朝日新聞などのマスコミは世論調査を行い、それを基に記事を作成しています。世論調査は『統計』の手法を使って実施されるため、厚労省のように不正が起きている可能性はあります。
例えば、朝日新聞で世論調査における15年来の統計不正が発覚した場合、「不正がある」と上層部に報告した幹部社員を人身御供するでしょうか。
まずは朝日新聞が社説で主張するように「過去の経緯をつまびらかにすること」に念頭を置くでしょう。この場合、調査の最優先対象は「不正行為が始まった時点での幹部社員」であり、「不正を報告した幹部社員」ではありません。
なぜなら、後任者は『前任者からの仕事』を引き継ぐと同時に “仕事の進め方” も引き継いでいるはずだからです。その際、“仕事の進め方” の中に『不正な集計方法』が紛れ込んでいれば、後任者は本人の自覚がない中で不正に手を染める結果になるのです。
不正を報告を受けたにも関わらず、必要な行動を明らかに起こしていないなら批判の対象とされるべきです。慰安婦報道を誤魔化すために朝日新聞が採ったような行為を厚労省がしていたという根拠がないなら、不正を報告した官僚を批判する理由はないと現時点では言えるでしょう。
民主党政権時でも「統計調査の不正」は行われており、それも含めた全容解明が必要である
過去の経緯を明らかにしたいのであれば、不正が始まったことが確認できている時から確認する必要があります。“不正に手を染めた人物” は免罪となり、“不正を告発・報告した人物” が吊るし上げの対象になるから、誰も不正を指摘しなくなるでしょう。
朝日新聞や野党がやっているのは「隠蔽した者が得をする社会の構築」という正直者が損をする環境を作っていることと同じと言わざるを得ません。
民主党政権時でも受け継がれていた不正問題であるにも関わらず、「問題が報告されて表面化した昨年末からの厚労省の対応」のみを問題視する姿勢は “政権批判の道具” として統計問題を使っているだけであり、根本的な解決策を模索する態度ではありません。
そもそも、問題を解決する気など持ち合わせていないのでしょう。統計調査に必要な予算配分に消極的で、現場へのしわ寄せが発覚したに過ぎません。
人員・予算・権限のどれか1つが不足する事態が慢性化すれば、目標が達成される可能性が下がり、その代わりに問題が発生する可能性が高くなるのです。「安物買いの銭失い」はコストパフォーマンスが悪くなるのですから、こうした現場を改善することを国会に要求すべきと言えるのではないでしょうか。