「是正勧告してもいいけど」と言われた “脛に傷を持つ” 朝日新聞が「報道機関への牽制だ」と言葉狩りを行う

 厚労省の労働局長が「マスコミに是正勧告してあげもいいんだけど」と記者会見で述べたことに対し、朝日新聞が噛み付いています。

 朝日新聞の反応は明らかな “言葉狩り” です。「報道」の名を使った『牽制』を行っているのはメディアであり、逆ギレと呼ぶに値する行為と言えるでしょう。

 

 裁量労働制を違法適用していた野村不動産の宮嶋誠一社長を昨年末に呼んで特別指導をした厚生労働省東京労働局の勝田(かつだ)智明局長が30日の定例記者会見で、出席した新聞・テレビ各社の記者団に対し、「なんなら、皆さんのところ(に)行って是正勧告してあげてもいいんだけど」と述べた。

 企業を取り締まる労働行政の責任者が監督指導の権限をちらつかせて報道機関を牽制(けんせい)したととられかねない発言だ。

 この報道も「発言の切り取り」が行われ、マスコミにとって都合の悪い部分は削除されています。その点を踏まえておく必要があると言えるでしょう。

 

発端は「野村不動産への特別指導が黒塗りだったこと」

 社員が過労自殺した野村不動産には “特別指導” が入りました。ただ、内容は個人情報保護などを理由にほとんどが黒塗りでした。

 しかし、マスコミは情報を公開しない厚労省に文句を付けました。これが発端です。

 情報公開に消極的な省庁に批判的な人は多いでしょう。ところが、今回の件については厚労省の対応が正しいものです。なぜなら、『WTO 自殺報道に対するガイドライン』が存在するからです。

画像:自殺報道に対するガイドライン

 厚労省は「自殺問題に取り組んでいる責任省庁」です。『WTO 自殺報道に対するガイドライン』を守るのは当然であり、“自殺に関する詳細な情報” を伝えるのは避けるべき行為として明記されていることからも、厚労省は真っ当な対応をしたと言えるでしょう。

 

労働局長は「シロではないマスコミの実態を公表しても良いが」と反論

 『知る権利』を掲げて情報公開を迫るマスコミに対し、厚労省の労働局長は反論しました。ただ、反論の内容がベストではなかったことは否定できません。

 「WTO の『自殺報道に対するガイドライン』はご存知ですよね?御社は遵守しないのですか?」と(最初に)ジャブを打つべきでした。その上で、「どうしても情報公開を希望されるなら、まずはマスコミ関係に対する是正勧告を公開します」と畳み掛けることができていれば理想的でした。

 マスコミは “言葉狩り” を行い、自身に対する批判を『牽制』することに躍起になっているのです。

 それによって、守られるはずの労働環境が悪化するような事態が起きれば、本末転倒です。『自殺報道に対するガイドライン』を全くと言っていいほど守っていないマスコミを牽制することは厚労省の大きな仕事と言えるでしょう。

 

「厚労省から是正勧告されるようなことがない」と主張できるなら、朝日新聞は「事実無根」と反論すべき

 朝日新聞としては厚労省・労働局長が「マスコミは “目こぼし” してもらっているだけ」との発言が気に食わなかっただけでしょう。

 「労基に入られても、全く問題ない」と断言できなら、「勝田局長の発言は事実無根」と反論し、発言の撤回を求めるべきだったからです。そうした主張を紙面上ですることなく、「報道機関を牽制したととられなかねない発言」と書いているのです。

 これでは痛い所を突かれたメディアが逆ギレしていることと変わりません。

 朝日新聞は「裁量労働制が適用されている社員の勤務時間を上司が改ざんした」などといった案件で労基から是正勧告を受けた前科があります。おそらく、記者に「氷山の一角である」との自覚があるから、過剰反応を示したのでしょう。

 報道機関として「真正面からの反論」ができない時点で、“お察し” と言うべきなのではないでしょうか。