「消費税率の引き上げ」による景気の低迷への対策は「社会保険料の引き下げ」と「高齢者の医療費3割負担」だ

 NHK によりますと、2019年10月に消費税率を 10% に予定どおり引き上げる意向を示している安倍首相が「消費の冷え込みを抑える対策に万全を期すように」と関係閣僚に指示したとのことです。

 消費税率を上げる主目的が「社会保障の全世代型への展開」なのですから、景気の冷え込みを防ぐ手立てはあると言えるでしょう。なぜなら、社会保障費の支払いを均等負担にする方式に変更することが “対策” となるからです。

 

 消費税率の10%への引き上げをめぐって、安倍総理大臣は、記者団に対し、「先に3%引き上げた際の経験を生かしていきたい」と述べ、4年前に引き上げた際の、消費の冷え込みを繰り返さないために、万全の措置を講じる考えを強調しました。

 来年10月の消費税率の10%への引き上げまで1年を切る中、安倍総理大臣は、15日の臨時閣議で、消費税率を予定どおり引き上げる考えを示したうえで、消費の冷え込みを抑える対策などに万全を期すよう、関係閣僚に指示しました。

 『消費税率アップによる支出増加分』よりも、『景気対策で得られるプラス分』の方を多くすることが対策となります。

 最も理想的な対策は「社会保険料を独立会計にする」ということです。国が税金を投入するから社会保険料が青天井で増加するという問題があるのですが、年金や医療費の抜本的改革は非現実的でしょう。

 そのため、現実的に実行できる以下のような政策が景気対策になるのです。

 

安倍首相が消費税率の引き上げ時に採るべき景気対策

 安倍首相が消費税率を 10% に引き上げた際に実施すべき景気対策は以下の3つです。

  1. 社会保険料率の引き下げ
  2. 高齢者の医療費自己負担割合を現役世代と同じ3割に引き上げ
  3. 原発再稼働

 いずれも、現役世代に大きな恩恵のある政策であり、消費の落ち込みを回避できるものだからです。

 社会保険料率は収入の 15〜20% 弱であり、支出に関係なく給与から天引きされています。この割合を引き下げることで、消費税率の 2% 増による痛みは十分にカバーできるでしょう。

 社会保険の大部分は高齢者への医療費に費やされているのですから、不足分は高齢者の医療費自己負担割合を現役世代と同じ3割負担に引き上げることが解決策になります。同じ医療サービスが提供されるのですから、同じ負担をすることが責務でしょう。むしろ、4割負担であっても安いと言えるはずです。

 また、原発再稼働で電気代を引き下げ、現役世代の手取り収入を増加させる経済政策を実施することも立派な景気対策となります。

 

“ばら撒き” や “軽減税率” という目先の景気対策はムダ

 消費税率の引き上げなど増税が行われた際に行われる “定番の景気対策” は「ばら撒き」です。今回は「軽減税率」も候補に入っていますが、根本的な対策とはならないでしょう。

 なぜなら、どちらも目先の対策だからです。

 『現在の消費活動』は『将来の安定した収入』に対する “安心感” があるから活発に行われるものです。一時的な “ばら撒き” は『将来の安定収入』に寄与するものではありませんし、軽減税率の適応範囲は部分的で一部の企業への補助金に過ぎません。

 そのため、「目先の景気対策」として終わってしまうことがほとんどで、根本的な景気対策とはなり得ないものと言えるでしょう。

 

野党は「消費税率の引き上げに反対」のポーズではなく、法案を提出した上で『社会保障費の削減案』を示せ

 安倍政権が民主党時代に法案化された「消費税率の 10% への引き上げ」に対し、立憲民主党などの野党は「反対」の意向を示して対決姿勢を鮮明にすることでしょう。

 しかし、この姿勢を評価することはできません。なぜなら、立憲民主党は「消費税率 10% への引き上げ」を決めた民主党政権の流れを組む政党だからです。自分たちが消費税アップを法律として決定しておきながら、「反対」と主張し、安倍政権に “法律違反” を迫る姿勢は論外と言えるでしょう。

 『立憲主義』の価値観に基づく政党であるなら、「消費税率の引き上げを廃止する法案」を提出することが最低条件です。また、野党勢力は「社会保障の拡充」を訴えているのですから、消費税率の据え置きによって不足する予算を確保する術も合わせて示す責任があります。

 こうした行動を起こさず、「反対」とだけマスコミの前で主張する野党第1党に存在価値を見出すことは困難です。少なくとも、過去に自分たちが法案化した法律に基づく消費税率の引き上げに対する責任は正面から取るべきであると言えるのではないでしょうか。