ヨーロッパ訪問で「EPA の早期発効」を始めとする一連の案件で仕事をした安倍首相の働きは評価されるべき

 NHK によりますと、ベルギーを訪問している安倍首相が EU のユンケル委員長と会談したとのことです。

 その中で、「EPA の早期発効」や「イギリスの EU 離脱問題」などで日本の立場を伝えたことは評価されるべき点と言えるでしょう。なぜなら、いずれの言及も日本の国益にプラスとなるものだからです。

 

 ベルギーを訪れている安倍総理大臣は、EU=ヨーロッパ連合のユンケル委員長と会談し、EPA=経済連携協定の早期発効に向け、双方の国内手続きを年内に終えるよう最大限努力することを確認しました。

 (中略)

 そのうえで両首脳は、WTO=世界貿易機関の改革に向け、緊密に連携していくことで一致しました。

 また会談で安倍総理大臣は、5か月後に迫ったイギリスのEU離脱をめぐり、交渉がこう着状態に陥っていることに憂慮を伝えるとともに、現地の日本企業への影響を最小限に抑えるため、交渉の透明性を確保し、制度変更などの移行期間を設定することが必要だとして協力を求めました。

 

安倍首相が言及した内容はいずれも日本の国益になる行為

 安倍首相が EU のユンケル委員長と会談した際に言及した内容は「いずれも日本の国益となる」と言えるでしょう。

  1. EPA (= 経済連携協定)の国内手続きを年内に終える
    → 日本経済にプラスの効果
  2. WTO の改革
    → 中国などのダンピング行為に対して機能不全
  3. イギリスの EU 離脱問題への対処を要望
    → 現地の日系企業への影響を軽減

 いずれの行為も日本の国益にプラスとなるものばかりです。この方針に反対するのであれば、安倍首相が進もうとしている方向性を上回る成果を出せるという根拠を示すことが責務と言えるでしょう。

 野党やマスコミは「対決姿勢」を鮮明にするだけで、「国民(≒ 有権者)を裕福にする対案」がないのです。そのため支持率が低迷するのは当然のことと言わざるを得ません。

 

秋の臨時国会では「EPA の承認」が1つの課題となる

 「EPA の国内手続きを年内で終える」ことが目標なら、TPP の時と同様に国会で関連法を成立させる必要があるでしょう。ただ、TPP と比較すると野党やマスコミの EPA に対するプライオリティーは低いため、比較的スムーズに国会で承認されるものと予想されます。

 野党は「改憲」、「消費税率引き上げ」、「モリカケ」などを臨時国会では中心的に扱う方針を示していますので、EPA を始めとする『EU 案件』はフリーパス状態になると考えられます。

 ただ、経済政策は日本経済だけでなく世界経済にも影響が出る可能性があるだけに “フリーパス” はあまり歓迎できることではありません。そのため、WTO の改革方針も内容が重要ですし、イギリスの EU 離脱による影響も最小限にする施策を講じる必要があるのです。

 メディア映えをするテーマではありませんが、国民の生活に大きな影響を与えるだけに国政政党は正面から取り上げる案件だと言えるでしょう。

 

 安倍政権を批判するのであれば、正面から批判しなければなりません。「完璧な政策」は存在しないのですから、批判が容易な項目は存在するのです。

 結果を出している分野で “無理筋な批判” を意地になってするのではなく、野党やマスコミは「対案を出しやすい項目」を念頭に置き、現実的な批判をすべきと言えるのではないでしょうか。