民主党時代に『三党合意』をまとめた責任者である岡田克也代表が政策否定することの深刻さ

 5月18日に行われた党首討論で、民進党の岡田克也代表が「来年4月に実施予定の消費税率 10% への引き上げを延期すべき」と発言したことをNHKが伝えています。

 この増税は民主党・野田政権時代に決定した「社会保障と税の一体改革」によるものです。民進党の岡田克也代表は副総理(当時)という立場で、三党合意をまとめたにもかかわらず、それを撤回するとは如何なものでしょうか。

 

 岡田氏は党首討論の中で「3年で消費税を上げられる状況に持っていくと約束していたが、果たされないなら内閣総辞職だ」と追求しています。

 しかし、安倍首相の “約束破り” を指摘するのであれば、まずは自分の立場が 180 度変わったことを国民に向けて詫びなければなりません。野田政権時代に「10% に上げるべき」と主張していた政治姿勢はどこへ行ってしまったのでしょうか。

 自らの政党が政権時代に掲げた政策を完全に否定しているのです。

 

 そのような態度を貫くのであれば、どれだけ素晴らしいマニフェストや公約を掲げたとしても有権者が振り向くことはないでしょう。なぜなら、自らが掲げた政策をあっさりと捨てるような政党が “有権者との約束” を守るとは考えづらいからです。

 「緊縮財政では選挙に負ける」というのはある種の思い込みを民進党を持っているのかもしれませんが、選挙に勝った政権も存在します。

 

 自民党の小泉政権はかなりの緊縮財政を行った政権でしたが、選挙には圧勝しています。有権者に対して「米百俵の話」を持ち出すなど明確なビジョンを示し、緊縮財政を掲げた政策であったにも関わらず、野党を壊滅状態へと追い込みました。

 現在の安倍政権による経済政策は合格点を得られる内容ではありません。(法的根拠に基づかず)原子力発電所の運転を止めたままでGDPを押し下げ、リフレ派の経済政策を鵜呑みにし、財務省を敵に回しているためです。

 野党としては、ここが狙い目になるでしょう。

 「安全点検が終了した原子力発電所は法律に従って運転再開をして下さい」と “立憲主義” に基づく主張をすることによって、GDPは 1% 弱は上がります。また、財政再建のため消費税アップを訴えることで財務省を権力基盤にすることへの道も開けることになります。

 

 ただし、野党(民進党)が採ることができる政策は自民党も採用することが可能であることを見落としてはなりません。

 原発を再稼動させることでGDPを押し上げ、消費税率をアップし、財政再建路線を進めることで財務省は安倍政権の権力基盤となるシナリオも十分に考えられるのです。ポピュリズムに訴えかけるだけで踊らさせるような有権者が多数派となることに過大な期待をしない方が良いと言えるでしょう。